以前、ある建売業者さんをコンサルティングした時の話。2棟現場で2棟とも売れ残ってる、販売を開始してかれこれ1年、もう打つ手がわからない、どうしたらいいのだろうか?と言う相談でした。
現地を拝見すると建物はいたって普通。場所はいいのですが、場所が良すぎて販売価格が高額になっています。売れない理由は、色々あるのですが完成物件なので出来ることは限られています。その上、値下げに次ぐ値下げでこれ以上経費は掛けられないという台所事情もあります。
そこで提案したのは、売主さんに案内の際、現地に待機してもらう方法です。
なぜ、それがいいと思ったかというと、とにかくこの売主さんの人柄が良かったからです。
初老の建築家という雰囲気で、言葉遣いも丁寧。そばにいるだけで安心感を与える佇まいを持っていました。その上、ご近所の方との関係も良好。ご近所の方を見ると、気さくに笑顔で話しかけていらっしゃったからです。物件と会社との距離も遠くないことから、案内の予約が入ると事前に現地に行って鍵を開けて待機してもらうことにしました。
お願いしたのは、こちらからはお客様に話しかけないこと。挨拶程度にして、質問があった時だけ、丁寧に答えてもらうようにしたことです。決して売り込みはしないで、質問だけに答えるというやり方です。
結果は、上々でした。まず、営業マンに好評でした。営業マンと言っても、物件のことを全て理解しているわけではありません。むしろ、何も知らないのが現実。実際、お客様に何か聞かれても、「・・・だと思います。」という返事がほとんど。お客様の方がよく知っているなんてことも少なくありません。それがこの現場では、売主が待機しているのでわからないことがあれば、すぐに答えてくれます。
事前の勉強もほとんど必要なく、わからないことはその場で解決できるので営業マンにとっては、安心して案内できる現場です。その上、安心感のある、やさしそうな紳士が迎えてくれるため、物件までいい物件に見えてきます。結局、2ヶ月程度で完売することができました。勝因は、売主の人柄です。人柄から来る安心感。
お客様は決して物件の良し悪しだけで購入を決断するわけではありません。それに携わる営業マンや、売主の人柄でも購入を決断することがあります。思うように売れないのであれば、物件を引き立てられるものはすべて利用しましょう。こんなことで、ということが意外と成約率アップにつながります。お試しください。
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