昔、とある地方都市で投資用のアパートを分譲した時のこと。
高利回りを武器に投資家への販売を目論んでいたアパートでしたが、何しろ地方の田舎町。簡単には満室に出来ません。いくら新築とは言っても、地方の田舎町では新規需要は限界があるからです。
そこで思いついたのは、すでに住んでいる人を新築に移すという作戦。その昔、北海道の投資物件業者がよくやっていた手です。簡単に言えば、近所のアパートに住んでいる人に新しいアパートができたので住みかえませんか?という営業をかける方法。
敷金、礼金はもちろん不要。今なら同じ条件で新しいアパートに住み変えられますよと営業をするのです。まあ、同じ条件で新しいアパートに住めるわけですから悪い話ではないのですが、引越しの手間を考えると二の足を踏む人も少なくありません。
そこで、それでも効果がない場合は、プレゼント攻撃を加えます。何をするかというと、駅から遠い物件だったら新品の自転車や原付バイクをプレゼントするというやり方です。これが一時期、流行りました。新築のアパートを建てて、近所のアパートの住民に敷金、礼金なし、その上、新品の自転車や原付バイクをプレゼントして部屋を満室にするという方法。そして、満室状態にした上で投資家に販売するのです。
このやり方がいいか悪いかは別として、ここで注目したいのは、プレゼントの方法です。実は、このプレゼントの方法で優劣ができたのです。ある会社は、このプレゼント攻撃が効果的だと聞いてチラシに今なら自転車プレゼントと掲載して営業しました。また、ある会社は、チラシに今なら自転車プレゼントを掲載しただけでなく、部屋にプレゼント用の自転車を飾っておきました。
どちらが早く賃貸が埋まったかは、後者。実際にプレゼントする自転車を部屋に飾っておいた業者の物件でした。何が言いたいのかというと、人は現物に弱いということ。プレゼントしますと言葉や写真で伝えるよりプレゼントする商品そのものを見せる方が何倍も効果的だということです。
よく家具付きで販売しましょうと提案すると、家具は好き嫌いがあるから、購入すると決まってから用意すればいいのでは、と云う反論がでますがこれでは効果は半減します。なぜなら、現物が見えない、触れられないのでお客様の感情が刺激されないからです。大切なことは、お客様の感情をなるべく直に刺激すること。そのためには、現物を見せること、触れさせることが一番です。お試しください。
この記事へのコメントはありません。