建売住宅の業界は不安定です。
売れる時もあれば、売れない時もある。
ろくに営業もしないで売れる物件もあれば、必死に営業しても売れない物件もある。だから、博打みたいに考えている人も多いのがですが、博打から抜け出す方法があります。
それが、ターゲットを明確にすること。
ターゲットに合わせた商品開発、広告宣伝を実施することです。そもそも売れない物件というのは、売りたい人、買ってもらいたい人が明確ではありません。せいぜい、30代で小さな子どもが2人いる一次取得者のようなもの。
現実的には、ほとんどの業者がターゲットをきちんと設定しないで、流れ作業のように建売住宅を企画し販売しています。だから、売れたり売れなかったりする。時代に左右される不安定な経営を余儀なくされるのです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
一番簡単な方法は、ターゲットのペルソナを明確にすることです。ペルソナとは、見込み客がどんな人なのか、架空の人間像を具体化していく作業です。
たとえば、どんな悩みを持つ人なのか、好きなものは何か、友達は多いのか、性格や嗜好はどういうものかなど、具体的に個人像を描き出していきます。
ペルソナを設定して大成功した事例の一つに「Soup Stock Tokyo」があります。
「Soup Stock Tokyo」はペルソナに「秋野つゆ」を設定し、創業わずか10年で、売上高42億円、52店舗と驚異的な成長を遂げました。ペルソナ「秋野つゆ」とは、
秋野つゆ(37歳) 女性
・都内在住
・独身か共働きで経済的に余裕がある
・都心で働くバリバリのキャリアウーマン
特徴
・社交的な性格
・自分の時間を大切にする
・シンプルでセンスの良いものを追求する
・個性的でこだわりがある。
・装飾より機能を好む
・フォアグラよりレバ焼きを頼む
・プールに行ったら
いきなりクロールから始める。
という人物。
この「秋野つゆ」にSoup Stock Tokyoをもっと好きになってもらうために、どういったメニューや店舗づくりがいいのか、また、住んでいる街を想定し、店舗の立地はどこがいいのかなどを考えていきました。
「このスープは秋野つゆがハマりそうだな」
「この立地だと駅から遠くて、平日に秋野つゆは寄れないだろう」
「お店の内装は、シンプルで過ごしやすくした方が好みだろう」
など、ペルソナの「好きなこと」「嫌いなこと」「不満、不安、不便に思うこと」「幸せを感じること」「典型的な平日」が戦略に落としこまれていきました。
その結果、都心で働くバリバリのキャリアウーマン「秋野つゆ」へ向けたSoup Stock Tokyoというお店ができあがったのです。言葉は悪いですが、たかがスープ一杯を売るためにここまで考えているのです。
それに対して、数千万円という高額な商品を売っている建売業者はどうでしょうか?そこまで真剣にビジネスに取り組んでいるでしょうか。
売れないのはビジネスへの取り組みが甘いからです。売れないのは当たり前のことを当たり前にできていないからです。裏を返せば、やるべきことをやれば、経営は安定し、売れないという不安から解消されるということです。
今一度、基本に戻って考えましょう。
それが将来を安定させる唯一の方法です。
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