クリナップの「クリンレディ」というシステムキッチンが好調らしい。
その理由は、標準搭載された「流レールシンク」。流レールシンクは、シンクの底面を従来とは逆の手前側に傾け、手前から排水口へ水路を設けた新形状。だから調理作業で使う水がゴミをスルスルと排水口へ運んでくれます。
そのため、今までのようにシャワーの水流や手を使ってゴミをまとめなくてもいいから、ラクチンで気持ちいい。通常、シンクのゴミの水流し作業に、1回1リットル、1日に3回で1か月に90リットル使いますから、その分節水できるというメリットもあります。
その上、排水口を片側に寄せたことで、まな板で切った野菜の切り屑が広がらないだけでなく水がかかりにくいエリアもできました。洗った野菜の水切りや、予備洗いしたお皿を置いたりと、一時置き場として活用できるので調理作業がスムーズにできます。
これが主婦にウケました。流レールシンク搭載前の価格からは4万円ほど値上がりしましたが、売れ行きは前年比 10%〜20%増で推移しているそうです。
ヒットの理由を分析すると、そんなに難しいことをしているわけではありません。技術的には、他のメーカーでも十分可能なことばかりです。しかし、他のメーカーはそれをしなかった。
なぜ、他のメーカーはしなかったのか?
それは、他のメーカーは常識に縛られていたからです。
調理中に出るゴミを嫌がる人は多いため、ぬめりのある排水口はなるべく遠くに、というのが業界常識でした。その業界常識を、覆したのが流レールシンクです。
もっとも、クリナップという会社はそんな企業風土のある会社でもあります。今では常識となったキッチンのフロアコンテナ(足元収納部分)。これもクリナップが業界の常識を破って開発したもの。
それまで足元部分は「蹴込み」と言われ、配管があるため、いじるのはタブーとされていました。しかし、配管のために必要なスペースを整理してみると、奥数センチを取れば収納として使えることが判明。フロアコンテナを搭載して大型収納を確保。瞬く間に消費者からの支持を集め、今や業界標準になったのです。
大切なことは、業界の常識にとらわれないこと。常識の裏にこそ、差別化のポイントが隠れているということです。まずは、そんな業界の常識を破った商品を利用することからはじめてみましょう。流レールシンク、オススメです。
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