ある映画の話。すべてを失った家具店主が、世界的に有名な家具チェーン店の創業者を誘拐するという、大胆不敵な計画が描かれたヒューマンドラマ『ハロルドが笑う その日まで』という映画があります。
何世代にも受け継がれていくクオリティの高い家具にこだわってきた家具店主ハロルドと、誰もが快適な暮らしを送れるよう、手頃な価格で家具を届けてきた家具チェーン店の創業者カンプラード。
ハロルドが時代に取り残され、店を失う一方、カンプラードは革新を求め、時代の最先端を走り続けてきた。このまるで対照的なふたりの人生が交差したとき、思いがけない化学反応が生まれます。
ストーリーは、ノルウェーの街、オサネで40年以上にわたり妻マルニィとともに小さくも誇り高き家具店を営んできたハロルド。しかし、世界中で展開する有名家具チェーン店「IKEA」(イケア)の北欧最大店舗がハロルドの店のすぐ隣にオープンしたことから、ハロルドの店は閉店に追い込まれます。
さらに最愛の妻を失い、怒りを募らせたハロルドが思い付いたのは、イケアの創業者、イングヴァル・カンプラードを誘拐して、復讐することだった!
おんぼろ車に乗り込み、イケアの第一号店があるスウェーデンのエルムフルトへと向かうハロルド。道中で出会った孤独な少女エバも巻き込み、極寒の地での珍道中が幕を開ける。
存命するイケア創業者が実名で描かれる前代未聞の映画でありながら、立場を超えた奇妙な交流が北欧映画ならではの絶妙なテンポ感と独特のユーモアで綴られている映画です。
ある日突然、自分の商圏に大手がやってくるというのはよくある話。家具業界に限らず、建売業界も同様のことはあります。その典型がパワービルダーですが、なぜか建売業者さんはパワービルダーの存在に危機感がありません。
本人たちは危機感を持っているつもりなのかもしれませんが、はたで見ているととてもそうは思えない。その結果、どうなっているかといえば、パワービルダーのシェアが年々大きくなっています。すでにパワービルダーの市場シェアは30%を超え、地域によっては50%を超えている場所もあります。
そうなると、もう同じ土俵では戦えません。否応なしに違う土俵へ進まなければならないのですが、その準備ができていない建売業者がほとんど。気がつけば、ハロルドと同じ。パワービルダーの創業者を誘拐するわけにはいきませんが、ビジネスは確実に行き詰まりを見せます。
そうならないためには、早めにパワービルダーと違う土俵を見つけること。そしてその土俵でNo. 1になること。それしか方法はありません。家具業界で起きていることは他の業界でも起きること。小さな会社こそ早めに考えるべきです。
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