仕事柄、多くの不動産会社の経営者にお会いする機会があるのですがうまく行っている会社の経営者もうまく行ってない会社の経営者もその理由を正確に知っている人は少ない、と思います。
だから、今うまく行っていても長続きしなかったり、今うまく行ってなくても急に業績が上がったり、ということが起こります。そうなると大変。大きくなりすぎた会社は、不況が訪れるとたちまち倒産という憂き目にあいますし、急激に業績が上がった会社は有頂天になる。そしてまた、大きくなりすぎた会社と同じ運命を辿る。この業界は、それを繰り返してきたように思えます。
では、どうしたらいいのか?経営者がすべきことは、うまく行っている理由、うまく行かない理由を言語化すること。具体的な言葉にして、日々検証することです。そうすれば、自分で会社がコントロールできるようになります。
ただ、その際によく陥るのが、うまく行っている理由、うまく行かない理由を、ひとつだと思ってしまうことです。例えば、建物に自信のある建売会社は、うまく行っている理由は建物がいいからだ、と結論付けてしまいがちです。知名度のない会社は、うまく行かない理由は知名度がないからだ、と結論付けてしまいがちです。それが不幸の始まり。
たまたま買ってくれたお客様が建物が良かったから買ったといえばその言葉を信じてしまう。知名度があったから安心できたと言われれば、その言葉を信じてしまう。ましてや、自分が売れる理由はきっとこれだと思う理由と、お客様から言われた理由が同じであれば、確信してしまうもの。そして、それに囚われてしまうのです。
実は、ここに落とし穴があるのです。確かに、お客様が購入した理由はその通りかもしれません。しかし、それだけで購入したのかというと決してそれだけではない。他の理由、購入に至るまでの背景が必ずあるもの。それを、お客様自身が気付いていることもあれば、気付いていないこともある。だから、お客様から発せられる言葉が全てではないのです。
それを考えないで、たった一つの理由だけで買ってくれたと思い込んでしまうと、その体験が後々、仇になるのです。実際、知名度のある会社は、知名度だけで売れないとわかっていますし、いい建物を建てる会社は、いい建物を建てるだけでは売れないと言うのを実感しています。
大切なことは、複数のうまくいった理由、うまくいかなかった理由を考えること。ひとつに絞らないことです。人間は単純なようで複雑な生き物。様々な理由を考えること、そしてそれを具体的な言葉にして日々検証することが大切です。お試しください。
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