私が新人営業マンだった頃、あるお客様からこんな質問をされたことがあります。
それは「私がこの家を買うメリットって何ですか?」という質問です。ストレートな質問ですが住宅選びの本質を突いています。
そのお客様は購入に真剣なお客様でした。すでに何件かの物件を見ており、いろんな不動産業者からアプローチをかけられていたお客様です。そのせいか、頭の中は少々、情報過多。そろそろ決めたいのだけどどれを選んだらいいのかわからない混沌とした状態です。そんな中、飛び出してきたのが冒頭の質問。「私がこの家を買うメリットって何ですか?」です。
営業マンとしてはこの質問に的確に答えられれば一気に成約に近づきます。逆に、この質問に即座に答えられない、または的外れな回答をすると一気に信用をなくします。それほど重要な質問なのですが、当時の私はその回答を用意していませんでした。結局、このお客様は他決。競合物件の調査を怠ったことと即座に質問に答えられなかった自分を悔いたものです。
住宅のような高額物件の商品を購入するお客様にはパターンがあります。それは、ひとつの物件を見ただけで購入することは少ないということ。後悔しないよう、いくつかの商品を比較検討してから購入するということです。そのため、営業マンとしては比較検討されても大丈夫なように、理論武装しておくことが大事です。他の商品と比べるとここが違う、ということを、言葉でわかりやすく説明できるようにしておくことが最低限の準備です。それができていないと昔の私のようにせっかくのお客様を取り逃がしてしまうことになります。
お客様をどの物件で、どのように落とすか、それを考えるのが営業マンの仕事です。しかし、その準備がしっかりできている営業マンばかりかというと現実はそうではありません。行き当たりばったりの営業マンがほとんど。お客様の顔色を伺いながら、「イイデスヨー、イイデスヨー」「今すぐ決めないと、他のお客様に買われちゃいますよー」と言うばかり。なぜ、この物件がいいのか、この物件はどんなお客様にふさわしいのかを説明できる営業マンはほとんどいません。
だとすれば、それを伝えるのは売主の仕事になります。他の物件では得られないその物件が持つメリットをわかりやすい言葉で伝える。それが売主の仕事です。決して、営業マンに頼ってはいけません。
あなたは自社の商品を買うメリットを即答できますか?まずは、あなた自身が即答できるようにしましょう。そして、それをお客様に伝わるようわかりやすい言葉に変換しましょう。それだけで成約率は大きく変わります。お試しください。
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