あなたは相場よりかなり高い土地を仕入れたことはありませんか?
建売業者なら誰でも一度や二度は仕入れに失敗することがあるもの。売れると思って仕入れたのに経済状況が激変して売れなくなることもあれば、造成に予想外の費用がかかり、売れなくなることもあります。
以前、相談を受けた建売業者さんもそんな高値で土地を仕入れてしまった業者さんのひとりでした。どれくらい高く仕入れたかというと相場より900万円以上高い金額。相場の2割アップです。さすがにこれだけ高いと普通の売り方では売れません。その上、売れるか売れないかわからないので建物は建てたくない、土地だけで売れる方法を考えて欲しいというおまけ付き。さて、あなたならどうしますか?
正直、かなり無茶なお願い。相場より900万円も高い土地を建物も建てないで売れるのであれば誰も苦労しません。誰でも億万長者になれます。しかし、かなり困っている様子なので放っておくわけにもいきません。そこで取った戦略が、超高級路線で売ることでした。
普通の建物で売り出しても価格で勝ち目はありません。他社の物件の当て馬にされるだけ。それなら、他社と比べられない商品にすることが重要です。それが超高級路線です。
この方法は、過去にいろんな企業がとってきた方法。
世界大恐慌のときにロレックスやモンブランシーバスリーガルなどが取った戦略です。
この時、ロレックスは従来より時計バンドを重く、大きくして高い商品を開発しました。モンブランは、万年筆を太くしてより重厚感のある万年筆にして売りました。シーバスリーガルは、ウィスキーをより長く熟成させより高級なウィスキーとして売りました。
不況とは不思議なもので不況になると安いものしか売れないわけではなく、超高額なものも売れます。
実際、マンションなども同じで普通のマンションは売れ残っているのに都内の一等地にある億ションは即日完売することも珍しくありません。その法則を試してみました。
とはいえ、お金はありませんから超高級な建物を建てることはできません。
仕方ないので、建築士に頼んで図面上だけで間取りや仕様を工夫して超高級な建売住宅を実現。チラシもその価値がわかるように工夫して発売したのです。
結果は、さすがに、すぐに完売というわけではありませんでしたが、4ヶ月後になんとか完売。
建物価格を入れると相場より1,100万円以上高く売れたのですからこの作戦は大成功でしょう。建売住宅ぽいのが嫌いという共稼ぎ夫婦がご購入されました。
もちろん、これはいつも成功するわけではありません。リスクを伴う売り方です。しかし、どんな現場でも工夫すればなんとか乗り切ることができる証明にはなります。あきらめなければ、なんとかなるものです。もしあなたが高値で土地を仕入れてしまったらこの超高級路線を思い出してください。きっと活路が見いだせますよ。
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