中小建売業者が短期間に業績を伸ばす方法のひとつに、模倣という戦略があります。
模倣とは、簡単にいえばマネ。モデリングという言い方をする人もいますが、要するにモノマネです。儲かっている会社のマネをしましょうと言うと、罪悪感にさいなまれる人もいますが、経営資源(人、モノ、金)に限りがある中小企業では決して恥じることではありません。
あの松下電器(現在のパナソニック)の創業者、松下幸之助さんですら
「うちの商品開発部は品川になる」と公言していたといいます。
当時、ソニーの本社が品川にあったのは周知の事実。業界ではマネシタ電器と揶揄されるほど露骨にマネをしていたそうです。他にも、韓国の世界的な会社、サムソン電子(売上高約37兆円)も東京に「ソニー研究所」をつくっていると噂されるほどソニーをマネしています。
そんな世界を代表する企業ですら、ライバル企業のマネをするのですからマネもひとつの戦略。中小企業が利用しない手はありません。しかし、このモノマネ戦略、簡単かというと決して簡単ではありません。いや、むしろかなりの技術と情熱がなければうまくいかないのが難点です。
まず、重要なことはただ単に、同じ商品をつくったとしても売れないということです。そもそも本家本元がいるわけですから同じ商品なら、本家本元の商品を買われてしまいます。つまり、本家本元の商品と比べて優位に立てるものがないと後発組は勝てないということです。
松下電器がソニーのマネをして商品を開発したのに、ソニーより売れたのはソニーより強い販売力があったからでした。そもそも商品開発に多額に費用を投じていない松下電器は、ソニーと比べると安価に商品が販売できます。その上、ソニーより圧倒的に強い販売網を持っている。だから、二番手でもトップ以上の収益を上げることができたのです。
つまり、大切なことはモノマネを差別化すること。本家本元以上の何かをプラスして差別化することです。
建売住宅なら今売れている建売住宅やハウスメーカーの家を忠実にモノマネする。そして、お手本にした住宅に自社のオリジナルを付け加えるか、自社の強みを付け加える。そして本家本元以上の商品に仕上げることです。そうすれば、本家本元以上に売れるようになります。
あの経営学の巨人と呼ばれるピーター・ドラッカーも勧めるモノマネ戦略(創造的模倣戦略)。あなたもぜひ試してみてください。
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