NYにある有名レストランの話。NYミシュラン5年連続受賞に輝く日本人経営のレストランがあります。その名は、「HAKATA TONTON」。博多料理のお店です。
このお店の名物料理は、なんと「豚足」。正直、私は苦手なのですが、多くのニューヨーカーがこの「豚足」を目当てに訪れるそうです。これだけ聞くと、やっぱり外人は肉が好きなんだ、と思ってしまいますが、実は、NYは豚肉を食べないユダヤ系住民が多い街。豚肉は決してポピュラーな料理ではありません。
そんな街で、なおかつ個性的な「豚足」を人気料理に変えてしまったのは、店主のひとつのアイデアでした。そのアイデアが「言葉」です。このお店ではメニューに「豚足」のことを「Pig’s feet」と訳さず、そのまま「TONSOKU」と書いて出しているそうです。その理由は、「Pig’s feet」と直訳して出したら、気持ち悪がられて売れない、お客様を食わず嫌いにしてしまうと考えたから。そこで、日本語のままメニューに載せることにしたのです。
当然、日本語のままメニューに載せると外人は言葉の意味がわかりません。「TONSOKUって、何?」と聞いてくるわけですが、そこでこう答えたといいます。それは、「フランス人がこよなく愛する料理、ピエ・ド・コションです」と。そして更に、「ピエ・ド・コションって何?」と聞かれた時にはじめて、「Pig’s feetです」と答えるのだそうです。
すると決まって、「フランス人に人気の料理なら一度食べてみよう」となり売れていったといいます。気がつけば噂の「TONSOKU」を食べてみたいという人が集まりはじめ、あっという間に予約2週間待ちという繁盛店になったといいます。
ここで参考になるのが、言葉の使い方です。
このお店が繁盛店になるかならないかを決めたのは、料理ではありません。
シェフの腕でもありません。言葉の使い方。料理の説明の仕方です。
これが上手にできるかできないかで単なるゲテモノ料理を出すキワモノのお店か、斬新な料理を出すハイセンスなお店に変わります。料理の質もシェフの腕も全て同じなのに説明の仕方ひとつ、言葉の使い方ひとつで、お店の売上は大きく変わるということです。
これは、レストランだけに限った話ではありません。不動産販売もしかり。どんな言葉で、どんな説明をするかによって、売れるか売れないかは決まります。これが商売の面白いところ。経営者のセンスが問われるところです。
あなたはどんな言葉で不動産を売っていますか?
もし売れ行きに不満があるなら、言葉の使い方を変えてみてはいかがですか?
「TONSOKU」のようにお店を代表するヒット商品に変わるかもしれませんよ。
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