先日、ある建売業者さんと話しをしていた時のこと。
最近のお客さんは、お金に厳しくて…
値引きしないと買ってくれない…
そんなことをおっしゃっていました。この建売業者さんに限らず低価格志向のお客さんが増えている、売れ筋価格がどんどん下がっている、という話はよく聞きます。
野村総合研究所の調査によれば私たちの平均世帯年収は、
1997年 713万円
2012年 583万円
実に、15年間で130万円も下がっています。確かにこの数字を見ればお客様が低価格志向に走るのはよくわかります。しかし、その一方で面白いデータもあります。それは、一人当たりの消費支出額です。
2001年 221万円
2012年 216万円
こちらはなんと5万円しか下がっていません。つまり、年収は2割近く下がっているのに、個人の消費額はほとんど変わっていない。不景気にも関わらず相変わらずお金を使っているということです。
では、どのようなお金の使い方をしているのかということですが、最近10年間で最も増えているものは、プレミア消費と呼ばれるものです。プレミア消費とは、自分が気に入ったモノはたとえ価格が高くても購入するという消費です。その一方で減っているのは、安さ優先消費と呼ばれるもの。商品にこだわりはなく安ければそれでいいという消費形態。もっとも安さ優先消費は、購買層の中では30%を占める大きな層。下がったとはいっても存在感のある層であることは間違いありません。
つまり、価格の安さだけを追求する人も相変わらず多いけど、自分が気に入ったものに対しては、たとえ価格が高くても購入するという人も増えているということです。
これはそのまま建売住宅業界にも言えます。パワービルダーがつくる低価格住宅の人気は依然強い。しかし、本物志向の少し高額な住宅も売れている。
では、中小の建売業者はどちらへ向かうべきか、ということですが
やはり、プレミア消費をする客層へ向けた商品をつくることが重要でしょう。低価格住宅であれば最終的にはパワービルダーに負けるのは必至。仮に生き延びたとしても利益は少ないでしょう。それなら、プレミア消費をしてくれる客層に向けた商品をつくるのが得策。もちろん、簡単ではありませんがうまくプレミア消費者層の気持ちが掴めれば、一気にひとり勝ちできます。
大切なのはプレミア消費層がどんなものに価値を感じるのかを知ること。それがわかればわかるほど成功する確率は高くなります。研究してみてはいかがでしょう。
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