本や雑誌が売れなくなった、と言われて久しいですが、そんな出版不況の中でも健闘している雑誌があるといいます。部数を減らす雑誌と部数を維持する雑誌。その違いを調べてみると不動産販売にも応用できるヒントが見えてきます。
2008年以降からの雑誌の発行部数を調べると、全体として市場が縮小しているのはもちろんのこと、とりわけ落ち込みが激しいジャンルがあります。それが、以下のような特徴を持った雑誌です。
・インフルエンサー(モデルや読者モデル)が主体になっているギャル誌
例:2008年最盛期の41万部から、6年間で4分の1の11万部に減った「ポップティーン」
・情報単位で流通できる内容となっている情報誌
例:2008年時の27万部が8年間で19万部に減った「anan」
・20代前半〜後半向けのファッション誌
例:2006年最盛期の80万部から、11万部まで部数を減った「cancam」です。
ギャル誌の不況の原因は、インフルエンサー(モデルや読者モデル)が、インターネットを使って自分で発信しはじめ、同年代の読者がそちらをフォローし始めるようになったため。 以前は雑誌がカリスマとなる読者モデルを発掘して、紙面上でそのライフスタイルを発表していたのですが、インフルエンサーたちが雑誌というメディアを介さないで直に情報を発信するようになったからです。
また、ギャル雑誌に次いで落ち込んでいるのが、情報単位で流通できる内容をサマリーにした雑誌です。情報誌は、映画、飲食店などの定量的な情報をサマリーにして掲載してたため、映画の上映情報はウェブの映画サイトに代替えされ、飲食店の情報は「食べログ」などの膨大なデータベースに代替えされてしまいました。
そして、最も部数を減らしているのは、20代前半〜後半向けのファッション誌です。ファストファッションの台頭により、雑誌を見なくてもある程度着こなしができるようになったことや、ファッションコーデを閲覧できるアプリやウェブで無料閲覧できるサービスが増えたことが原因だと考えられています。
そんな出版不況の中で健闘しているのが、マガジンハウスの「Hanako」という雑誌です。2008年時に9万部だった発行部数は2015年時に8万7千部とさほど部数を減らしていません。カフェの特集や自由が丘などスポットガイドなど、一見東京ウォーカーのような情報誌と同様に見えますが「よりビジュアルを重視し、雑誌を雑貨化する」というコンセプトで2009年にリニューアルをかけたそうです。
ビジュアルを重視することで、単に情報を得るための媒体ではなく、“眺めていて楽しい” “生活空間に置いておきたい” “何度でも触れたい”と思わせることに成功したのが部数を落とさないコツだといいます。
それに対して不動産販売では、ビジュアルはほとんど考慮されてきませんでした。販売図面はもちろん、ウェブサイトの写真も素人のやっつけ仕事。ないよりはマシ、という程度のものがほとんどです。だとすれば、「Hanako」のようにビジュアルを強化するだけでお客様の注目は大きく変わるということ。購買意欲も増すということです。
たかが、ビジュアル。
されど、ビジュアル。
あなたも売れる雑誌を真似してみませんか?
効果は実証済みですよ。
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