不動産マーケティング

有名建築家の作品なら高くても売れる!?

先日、クライアントさんのお誘いで埼玉県の、とある建売住宅を見学に行きました。有名建築家とコラボレーションした注目の建売住宅とのこと。興味津々で現地を拝見させていただきました。

建物は全部で5棟。駅からも近く閑静な住宅街の一角です。広々とした敷地は、さすが埼玉ならでは。東京、神奈川では見かけないゆとりがあります。

売主は、大手と言ってもいいようなデベロッパー。マンションや建売住宅を手広くやっています。この辺りだけでも過去に3,000棟の実績のある会社。今回の物件も過去に販売した分譲地の一角です。

建物は、ひと目で建築家の作品とわかる建物。有名な建築家の作品ということでしたが正直、私たち世代では名前を聞いてもよくわかりません。企画から開発まで相当な期間をかけて取り組んだプロジェクト。内容を伺っても真摯に取り組んでいることがわかります。

建物だけでなく、ランドスケープや照明にも有名デザイナーを採用し、こだわりは満載。その上、建売住宅では滅多に採用されない高価な特殊工法も採用されていて、一流が好きな人にはピッタリの物件に仕上がっていました。

ただ、私たちが感激したか、同じような企画で建てたいか、というとそれは別。むしろ、反面教師として映る物件になっていました。反面教師として映った理由のひとつは、企画が徹底されていないこと。

有名建築家を採用している割には、売主の意向が強く、有名建築家のカラーが徹底されていません。だからなんとなく中途半端な印象です。任せるなら任せるで、口を出さない方がいいのに・・・と思ってしまいました。

そうは言っても、売れれば勝ち。
勝てば官軍なのですが、売れ行きは芳しくないようです。

売り方が悪いのか、はたまた他の理由か、ということですが、帰宅してからその会社の売り方、ホームページの作り方を研究してみましたが、マーケティング的にはほぼ完璧。

さすが、大手というような売り方をしています。わずか5棟の現場でこれだけのお金をかけるのか?というほどのこだわり。マーケッターとしては羨ましいくらいです。

では、なぜ売れないのか?
答えは簡単です。

価格が高すぎるからです。

周辺の競合物件を見ると、パワービルダーの物件なら2,500万円程度が相場。それ以外の地元業者の物件で3,500万円ぐらい。それに対してこの物件は1,500万円〜2,000万円高い価格で販売しているからです。

ただでさえ、競合が多く物件は飽和状態のエリア。その中で、競合より1,500万円〜2,000万円以上高い価格で売り出すのはさすがに厳しいでしょう。

いくら一流の建築家を採用しても、
いくらマーケティングを駆使しても、
価格戦略が間違っていたら台無しです。

大切なのはバランス。
建物がどれだけ一流でも、
売り方がどれだけ完璧でも、
価格を含めた全体のバランスが悪ければ売れません。

高くてもいいものを作れば売れる、
高くてもマーケティングが良ければ売れる、
というのは幻想です。おごりと言ってもいいかもしれません。

そんなことを考えさせてくれる物件でした。

 

 

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