コンサルタントになる前、仲介会社を経営していた頃の話です。ある建売業者さんと懇意になりました。懇意になったのは、その建売業者さんの売れ残り物件を売ったことがきっかけ。地元の仲のいい仲介業者に任せていたのですが、1棟だけ売れずに困っていたのです。
完成して半年。完成前から販売自体はしていたので、かれこれ1年近く売れない物件です。専任で任されていた業者もすっかりモチベーションはありません。会うたびに売れない理由と値下げの要求ばかり。そんな状況に嫌気が指していた時に、うちの社員が飛び込みで売り出しさせて欲しいとお願いに行ったのです。
怖いものしらずとは恐ろしいもので、その建売業者さんは、地元では有名な頑固親父。専任を任せた業者以外には一切物件を紹介しない業者として有名でした。しかし、たまたまタイミングが良かったのでしょう。見ず知らずの仲介業者に一度だけという条件付きで売り出しをさせてくれることになったのです。
それに気分を良くしたのが飛び込みで訪問した担当者です。知らないというのは恐ろしいもので、彼にとっては完成して半年も売れない物件でも、悪い先入観はありません。早速、自分でチラシをつくってポスティングをはじめました。1週間かけて近隣にコツコツポスティング。売り出し当日には新聞折込も入れて、万全の体制で臨みました。
結果は、というとその日には決まりませんでしたが、来場したお客様で1週間後に契約することができたのです。面白くないのは、ずっと専任を任されていた仲介業者。いろいろと言い訳をしていたようですが、敗因はモチベーションの低下。売れないのは価格が高いから、という思考にとらわれて、途中から営業らしい営業をしなくなったからです。
実際、成約したお客様はすぐ近所の団地に住んでいた人。こんな近くにこんな物件があったなんて知らなかったとおっしゃっていました。まあ、本当は知らなかったというより目に入らなかったというところでしょう。専任を任されていた業者も数ヶ月前までは何度も売り出しをしていましたし、チラシも配布していました。ただ、それが自分に興味がないときには目に入らないだけです。
大切なことは、売れないのを価格のせいにしないこと。価格のせいにすると思考と努力が止まってしまいます。売れないのは何かが足りないだけ、そう思ってチャレンジを続けること。チラシを増やす、チラシを撒くエリアを変える、訴求するポイントを変える、等々やるべきことは山ほどあります。その中で、自分なりの再現性のある成功法則をつくっていく、それが重要です。
あなたは売れないのを価格のせいにしていませんか?価格のせいにしている限り成長はありませんよ。
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