不動産広告にマイナス表現は必要か?

不動産広告

不動産広告にマイナス表現は必要か?

ある建売業者さんから届いたクレーム。完成しても売れない在庫物件のためにチラシをつくって欲しいという依頼がありました。完成して3ヶ月。完成当初は仲介業者もオープンハウスなど積極的にやってくれていたのですが今ではオープンハウスの依頼すら来ない。レインズの問い合わせもほとんどないという物件です。

販売図面を見る限り売れない物件には見えません。むしろ、セールスポイントの多い物件。早速、チラシづくりのために現地を確認。すると見えてきました。売れない原因が。日当たりが悪いのです。実際に現地に行くと販売図面から受ける印象より、日当たりの悪さが際立ってしまい、それが気になってしまうのです。よくあります。こういう物件。全体としては合格点なんだけど、ひとつだけ気になる部分がある物件。その気になる部分がネックになってお客様がどうしても購入に踏み出せない物件です。

そこで考えたキャッチコピーが「日当たりは良くありませんが、駅まで傘をささずに行けます。」というキャッチコピー。実際、駅までは歩いて2分。小雨なら傘をささなくても走っていける距離です。これはいいキャッチコピーになると思っていたのですが、売主からはまさかのクレーム。日当たりは良くありませんが、という部分を他の表現に変えて欲しいというのです。

まぁ、売主さんの気持ちもわからないではありません。一生懸命作った作品をけなされているように思えるのでしょう。しかし、決してけなしているのではありません。むしろ、マイナス部分を緩和するためにあえてこの表現を使っているのです。

売主としては、寝た子を起こすようなことはして欲しくないということなのですが、お客様もバカではありません。家を買うのに現地に行かない人はいませんし、現地に行けば誰でもわかる日当たりの悪さを隠しても意味はありません。それが証拠に今までの断り文句のほとんどが「場所はいいんだけど日当たりがね・・・」というもの。みんな場所の良さは認めているのです。ただ、その場所の良さを消してしまっているのが日当たりの悪さ。だとすれば、最初から日当たりが悪くても場所さえ良ければいいという人を集める方が賢明です。

できることなら、「もっと日当たりが悪いと思っていたけどそうでもないですね。」というような感情を持ってもらえたら成約する確率はより高くなります。それに何より、悪い部分を先に伝えるというのは誠実さにもつながるので、売主の印象も良くなります。

実際、この手法は広告ではいたるところで使われています。マイナスを先に示して、それ以上のプラスを伝える。そうするとコントラストが生まれ、プラスの部分がより際立つという手法です。

東海地方の人は聞いたことがあるかもしれませんが、名古屋のローカルCMにコーミソースというのがあります。ここのキャッチコピーはまさにそれ。「値段は高いが、いい味です。」このキャッチコピーだけでブランドを維持しているといっても過言ではありません。

結局、この建売業者さんは最初のキャッチコピーは不採用。ありふれたキャッチコピーに変更になりました。もちろん自己責任ですから私たちは売主さんの意見を尊重しますが、たまには勇気を持って新しいことにチャレンジするのも大切。冒険も必要ですよ。

 

ピックアップ記事

  1. 俊足に学ぶ。建売業界でもう一度輝く方法。
  2. 真面目な建売会社が報われない意外な理由。
  3. 中小建売業者は値下げしてはいけない!
  4. 建売住宅販売はモノからヒトの時代へ。
  5. 新築住宅分譲、こうすれば条件の悪い区画も値下げしないで売れる!

関連記事

  1. 建売会社が信じる間違った広告常識。

    不動産広告

    建売会社が信じる間違った広告常識。

    売れない物件を抱えたクライアントから「どうしたら売れるでしょうか?」と…

  2. 真面目な不動産業者が陥る成功法則の罠。

    不動産広告

    真面目な不動産業者が陥る成功法則の罠。

    仕事柄、いつもどうしたら売れるだろうということを考えています。住宅業界…

  3. 不動産集客はキャッチコピーが8割。

    不動産広告

    不動産集客はキャッチコピーが8割。

    私たちのサービスのひとつに売れる販売図面という、販売図面作成サービスが…

  4. なぜ不動産会社は広告が必要なのか?その本質的な理由。

    不動産広告

    なぜ不動産会社は広告が必要なのか?その本質的な理由。

    どうすれば売れる広告をつくれますか?とよく聞かれます。よく聞かれるとい…

  5. 人はなぜ家を買うのか?

    不動産マーケティング

    人間の本能を揺さぶれ!人が家を買う2つの理由。

    人は、なぜモノを買うのか?少し哲学的な質問ですが、これがわかると人は、…

  6. 建売会社は広告力を磨け!

    不動産広告

    建売業者は広告力を磨け!

    建売業者さんの中には、広告不要論者がたくさんいます。理由は、よくわかり…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 間違いだらけの新築住宅の見せ方
  2. 弱点のある不動産の売り方。
  3. 急成長企業に学ぶ、これから売れる新築分譲住宅。
  4. 新築一戸建て会社はゴミの日の法則に学べ。

おすすめの記事

  1. ムダな求人広告を使わないで不動産会社に優秀な人材を集める方法…
  2. 売れる不動産の極意はセブンカフェで学べ!
  3. 建売業者必読!不動産広告の有効リーチとは?
  4. あなたの感性は時代に合っていますか?
  5. 売れる新築住宅をつくるための意外な質問とは?
  1. 購入者の属性、把握していますか?

    不動産マーケティング

    購入者の属性、把握していますか?
  2. これかの新築分譲会社に必要な能力とは?

    不動産会社経営

    これからの新築分譲会社に必要な能力とは?
  3. 不動産集客

    売れる不動産広告をつくるための基本のキホン。
  4. 儲けたかったらターゲットを変えろ!

    不動産マーケティング

    儲けたかったらターゲットを変えろ!
  5. 売りにくい物件を即決物件に変えるコツ。

    不動産売却

    売れ筋じゃない物件を即決物件に変えるコツ。
PAGE TOP