仕事柄、時々聞かれる質問があります。それは、
「どこか安い工務店知らない?」
「どこか安い設計士知らない?」
「どこか安い◯◯知らない?」
という質問です。
販売価格を少しでも安くしたいという思いから質問されるのでしょう。現状を少しでも改善したい思いからだとは思うのですが、実は、この質問には大きな問題があります。それは、「安いことはいいことだ」という考え方です。
もちろん、この質問をする建売業者さんに悪意がないのはわかります。いいものを少しでも安く提供したいそんな思いの表れだと思います。
しかし、いいものを安くというのは現実には難しい。たまには、いいものを安く提供できることはあるでしょうが、常に、いいものを安く提供するのは困難です。結局は、誰かが損をする。もしくは、誰かに負担をかけることになるからです。
そもそも、いいものを安く提供する、という考え方は日本人特有のもの。海外では、いいものは高いというのが常識です。まあ、考えてみれば当然といえば当然。材料も、職人も、一流の人を使えば価格が高くなるのは当たり前。それを安く提供しろというのは、無茶な話です。
それと、もうひとつ重要なことは、安い業者を探すようになると建物の品質が下がるということ。安い業者さんを集めて、つくればつくるほど、売れない物件が出来上がるということです。
施工が悪い。納期が遅れる。アフターサービスがずさん。等々、売却後のクレームに追われるのはもちろん、そもそも設計が悪ければ売ることもできません。
人気のある設計士は理由があって人気があります。売れる間取りをつくれる設計士は、どうすれば売れるのかその理由を知っています。当然、彼らはノウハウを獲得するためにそれ相応の努力をしています。ノウハウもなくただ漠然と設計をしている人では価格が違うのは当たり前。どちらがあなたにとって必要な人材かは一目瞭然です。
これからの中小建売業者さんにとって必要な人材は、安くできる人ではありません。そもそも、安さだけで売れる時代はもう終わりました。これからは能力のある人の時代。能力のある人材を抱えた建売業者が勝つ時代です。
さて、あなたはどう思いますか?
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