不動産チラシ、「価格は大きく目立つように」は正しいのか?

不動産広告

不動産チラシ、「価格は大きく目立つように」は正しいのか?

私がつくる不動産チラシや販売図面は価格の表示が小さい。

本当は、もっと小さくてもいいのですが、クライアントさんからのクレームが多いのでそこそこの大きさにしています。それでも、値下げがあった場合や、もっと大きくわかりやすくして欲しいという要望は結構あります。値下げ前の価格に二重線を引いて値下げ後の価格を大きくして欲しいとか、もっと太字で目立つようにして欲しいとか、そんな要望はしょっちゅう。もちろんその都度対応しています。しかし、本音は・・・

実は、価格表示のサイズも場所も計算してつくっているのです。そもそも価格の表示を大きくして欲しい・・・、目立つようにして欲しい・・・、という建売業者さんは、価格がセールスポイントだと考えています。当然、セールスポイントであれば大きく目立つように提示するのは当たり前。その考え方に間違いはありません。

しかし、その価格がセールスポイントになっていなかったとしたら、価格を提示する順序が間違っていたとしたら、価格を大きくわかりやすく提示することはかえって逆効果になってしまうのです。実は、価格提示には順序があります。価格を提示するタイミングによって成約率は大きくかわるのです。

今度テレビショッピングを見るときに注意してみて欲しいのですが、彼らは、決して最初から価格を提示しません。どんなに安い商品でも、どんなに割引がすごい商品でも、価格の提示は商品説明の後。ここに価格提示の極意が隠されているのです。

価格を提示するとどうなるか?実は、脳のなかの島(とう)と呼ばれる部位が活性化します。これは、肉体的な苦痛や社会的苦痛を感じる時に活性化する部位。価格を見ることは、脳にとっては苦痛だと認識されているのです。その理由は、価格を見ることが商品を買うことを連想させるから。

つまり、価格はあなたの財産を奪い、大切なお金を使ってしまうので苦痛だと認識してしまうのです。そのため、人間は苦痛を感じたくありませんから価格を見ると商品について十分な検討もしないですぐに判断するようになります。ほんの数秒で買う買わないという判断をしてしまう。

そうなるとあなたの商品に対して正当な評価はされなくなってしまいます。商品説明も見てくれませんし、じっくり検討もしてくれません。当然のことながらじっくり商品説明を聞いたときより成約率は落ちてしまいます。

そんな脳の構造を知っているからこそテレビショッピングなどでは価格は一番最後。商品の魅力をこれでもかこれでもかと伝えた後に、コソッと伝えるのです。

大切なことは、単なる価格ではなく商品価値に対しての価格。特に住宅のような高額商品の場合は、価格の比較が難しいため、価格だけをセールスポイントにしても成約率アップには繋がりません。価格の魅力が効果を発揮するのは、十分な商品説明の後、商品価値を最大限に高めた後が、絶好のタイミング。

チラシや販売図面も同様です。
そこのところお間違えなく。

 

ピックアップ記事

  1. これからの新築分譲会社に必要な能力とは?
  2. えっ本当?売れる物件を作りたいならお客様の声を聞いてはいけない。
  3. 大手不動産会社に学ぶ、売れる仕組みのつくり方。
  4. 中小建売業者は販促ツールを強化しろ!
  5. 「部下を育てるのは難しいなぁ…」と思ったら。

関連記事

  1. 売れないのは価格のせいではありません。売れないのは…

    不動産売却

    売れないのは価格のせいではありません。売れないのは…

    先日、冷蔵庫を買いに行きました。実は、わが家の冷蔵庫は18年前のもの。…

  2. えっ本当!合法的に不動産の不当表示防止法を逃れる方法。

    不動産広告

    えっ本当!合法的に不動産の不当表示防止法を逃れる方法。

    不動産広告にはいろんな制約があります。なかでも一番やっかいなのが不当表…

  3. 思わず共感!ヒットする不動産広告のつくり方。

    不動産広告

    思わず共感!ヒットする不動産広告のつくり方。

    日経MJによれば、ブルボンのお菓子「濃厚チョコブラウニー」が人気です。…

  4. 不動産広告

    過去の失敗にとらわれていませんか?

    コンサルティングをしていると2つのタイプの経営者に出会います。 …

  5. 不動産集客はキャッチコピーが8割。

    不動産広告

    不動産集客はキャッチコピーが8割。

    私たちのサービスのひとつに売れる販売図面という、販売図面作成サービスが…

  6. なぜ不動産会社は広告が必要なのか?その本質的な理由。

    不動産広告

    なぜ不動産会社は広告が必要なのか?その本質的な理由。

    どうすれば売れる広告をつくれますか?とよく聞かれます。よく聞かれるとい…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 間違いだらけの新築住宅の見せ方
  2. 弱点のある不動産の売り方。
  3. 急成長企業に学ぶ、これから売れる新築分譲住宅。
  4. 新築一戸建て会社はゴミの日の法則に学べ。

おすすめの記事

  1. 人はなぜ借金してでも家を買うのか?
  2. 即日完売する新築分譲住宅を建てる前にすべきこと。
  3. あなたが値下げ前にやるべきこととは?
  4. 広告担当者注目!不動産チラシの基本7原則とは?
  5. これからの不動産営業は売り込むほど売れなくなる。
  1. 販売用の新築一戸建てが完成したら真っ先にすべきこと。

    不動産マーケティング

    販売用の新築一戸建てが完成したら真っ先にすべきこと。
  2. 平町

    物件情報

    成功者にふさわしい土地をお探しのあなたへ。
  3. 即日完売する新築分譲住宅を建てる前にすべきこと。

    不動産会社経営

    即日完売する新築分譲住宅を建てる前にすべきこと。
  4. 大手不動産会社に学ぶ、売れる仕組みのつくり方。

    不動産会社経営

    大手不動産会社に学ぶ、売れる仕組みのつくり方。
  5. 間違いだらけの新築住宅の見せ方

    不動産マーケティング

    成約率を落とす!間違いだらけの新築住宅の見せ方。
PAGE TOP