コンサルタントという仕事柄、商品の企画やサービスについて提案することが多くあります。採用されることもあれば、「検討したけど今回は・・・」と言って採用されないこともあります。
もちろん、経営者はクライアントですから採用するも採用しないもクライアントが決めればいいこと。それについては異論はありません。私の仕事はあくまでコンサルティング。選択肢を提示することでクライアントの視野を広めることです。
しかし、なかには残念な決め方をするクライアントもいます。
それは、商品企画や新しいサービスの決定を間違った相手に決めさせる時です。
例えば、新しい間取りやデザインを決める時。多くの経営者は、まず自分が好きかどうかで決めようとします。その次は、従業員。そして、仲介業者。この順番で決めると大抵は失敗します。
なぜなら、売ろうとしているターゲットと決定権者が違う属性にいることが多いからです。
まず、経営者。経営者が売りたい客層と同じような年齢、収入、家族構成であれば問題ないと思いますが大抵は、大きく違うものです。
これは、従業員も同じ。古参の従業員ともなれば経営者と年齢が近いことも多く、売りたいターゲットの属性とは違うものです。そんな人たちが、この企画はいい、悪いと言っても間違うのは当たり前。結果的に、自分たちの好き嫌いで決めてしまいます。
仲介業者も例外ではありません。仲介業者なら日頃お客様を案内しているし、お客様の好みもよくわかっていると思いがちですが、実態は違います。売れる営業マンほど、お客様の話を聞かないもの。自分の売りたい物件でどう落とすかということしか考えていません。だから、お客様の本当の気持ちがわかっていない。彼らの意見を聞いても出てくるのは彼らの意見。そこからお客様の本音は見えてきません。
では、誰の意見を聞いたらいいのか?
それは、お客様の意見です。実際に購入したお客様の意見です。
ポイントは、実際に購入したかどうか。購入しない人の意見は参考にはなりません。
買わない人ほど、買わない理由をたくさん上げます。仮にそんなお客様の意見を全て聞いた商品をつくっても、新たな買わない理由を言ってくるのがオチ。少しも参考にはなりません。参考になるのは、実際に買ったお客様の意見です。
ある建売会社の経営者は、このアドバイスを聞いて、自分が企画している物件と同じような商品企画の物件を購入した他社のお客様に直に話を聞きに行きました。
そこで聞けた話は、自分が考えていたモノとは全く違うモノ。いかに自分たちの考えが独りよがりのものだったか実感した、とおっしゃっていました。
大切なことは、正しい相手にアドバイスを求めることです。間違った相手にアドバイスを求めても間違った答えしか出てきません。そこのところくれぐれもお間違えなく。
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