以前、ある企業の個人情報流出が大問題になったことがありました。
個人情報を提供した覚えのない業者からDMが来た、というのが発端らしいのですが同様のことは私たちもよく経験します。正直なところクレジットカード番号が盗まれていた・・・というのなら驚きますが、住所や名前程度なら、今更という感じ。
私も携帯のアドレスが変わったばかりなのに、知らない業者からばんばんメールが入ってきたことがありました。どこにも登録していない時期だったのでスパムメールが入るということは、携帯業者から情報が漏れているとしか考えられませんが、遅かれ早かれこの程度の情報は漏れるものと諦めたものです。
ただ、こんな問題が起こると私たちの仕事に影響が出ないわけではありません。やはりお客様は、個人情報を開示するのに慎重になります。問題が起きたのは、教育産業の業界最大手。業界最大手ですら、あの状況なんだから中小企業は推して知るべし、と警戒する人も増えてくるでしょう。つまり、中小の不動産会社への問い合わせに慎重になる人が増えてくる、ということです。
では、どうすればいいでしょう?
解決策は簡単。逆にこちらから積極的に情報を開示していくことです。
昔から不動産業界、建売業界は情報を開示しないのを良しとしてきました。問い合わせがあってもお客様が個人情報を伝えないと詳しい住所を教えない・・・、詳しい情報は事務所に来ないと教えない・・・など、まずお客様の個人情報を先に出させるという上から目線の営業が巾を利かせてきました。もちろん、このような営業方法にもそれなりの理由があり、効果があったからこそ続けられてきたのですが、今の時代にそぐわなくなったのも事実です。
人は素性のわからないものに対しては慎重になります。逆に、相手のことがよくわかっていると寛大になります。つまり、相手が先に情報を開示すると自分をさらけ出しやすくなるのです。
以前、ある住宅の新築見学会で「私が建てました」という看板とともに大工さんが自分の家族と一緒に写っている写真が飾られていました。そこには大工さんの詳しいプロフィールと共にひと言、
「家族や子どもに恥ずかしい家は建てていません」
と添えられていました。地元ではナンバーワンの会社でしたがさすがだな、と感心したのを覚えています。
相手の心を開かせるにはまず自分の心を開くこと。
お客様から安心して問い合わせをしてもらうためには、先に売主から全ての情報を開示しましょう。お客様が安心して問い合わせできる環境づくり、それが売主のもっとも重要な仕事です。
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