老舗不動産会社の社内改革が進まない理由。

不動産会社経営

老舗不動産会社の社内改革が進まない本当の理由。

ある地方の不動産会社をコンサルティングしたときのこと。
その不動産会社は、建売住宅から土地分譲、賃貸管理から仲介まで、何でもやっている総合不動産会社。駅前の一等地に店舗を構え、多くの地主さんを抱える、社長が一代で築き上げた会社です。現在は、専務の息子さんが実務を取り仕切っているのですが、専務の理想と現実がうまくかみあっていないということで相談を受けました

まずは、なかなか売れない自社の建売住宅についてアドバイスが欲しいということで営業会議に出ることに。営業会議に出席したのは、全部で6人。社長と専務、そして営業マンが4人。営業マンといってもかなりのベテラン。若い人はひとりだけで、平均年齢は、40代後半というところでしょうか、専務の年齢より上の人がほとんどでした。

かんたんに、現在の問題点を伝え、具体的な対応策を提示。
社長や専務が出席しているせいか、会議では皆さん真剣に聞いているようでした。しかし・・・

現実は、在庫一掃に向けて一枚岩というわけではありませんでした。社内の意思がバラバラだったからです。よくあることですが、まず専務とベテラン営業マンとのコミュニケーションがうまくいっていません。専務は少しでも会社を良くしようと改革に燃えているのですが、ベテラン社員達は、そこまでの危機感はありません。どちらかというと改革は面倒だと思う世代。改革するにしても、大きな変化は嫌う世代です。ここにひとつの大きな問題があります。

もうひとつは、責任者の問題。
誰が改革のためのリーダーになるかという問題です。今回、最初にコンサルティングを頼もうと思ったのは専務でした。そのまま専務が在庫一掃プロジェクトの責任者でやれば良かったのですが、実際は、私とのやり取りは営業部長を介してやって欲しいということになりました。もちろん、営業部長と専務の関係が緊密で、営業部長に危機感があれば問題ないのですがそうでないと、この段階でアウト。うまく行きません。

この会社の場合は、もっと複雑で営業部長は忙しいからという理由で途中から課長という人が担当になりました。こうなると責任者はいないも同然。改革なんて絵に描いた餅になってしまいます。その上、役職が下に行けば行くほど改革に関しては否定的になります。

そもそも彼らにとって改革による成果は、今までの自己否定につながること。おもしろいはずがありません。実際、私の直接の担当者は会議の時の態度とは180度別人。挑戦的で否定的な人格に変わっていました。メールを送っても読んでいない。電話をかけても折り返しがない。新しい販売企画に対してはダメ出しばかり。こうなると収拾がつきません。

この場合、大切なことは、改革しようと思った専務が最後までリーダーシップを発揮すること。専務が責任者としていろんな施策を実行することです。それができないなら改革はムリ。社内が混乱するだけでメリットはありません。

経営者と従業員では危機感に大きな差があります。これは決して埋まらない溝です。
だからこそ、経営者自らがリーダーシップを発揮する必要があるのです。

あなたは誰かに仕事を任せきりにしていませんか?
任せることと、責任を放棄することは別です。進捗状況は常にチェックしておきましょう。

 

ピックアップ記事

  1. なぜ社長好みの家をつくってはいけないのか?
  2. 売れる不動産会社をつくるために最も大切なモノとは?
  3. 自動車メーカーに学ぶ、売れる新築一戸建てのつくり方。
  4. 売れない新築一戸建て、値下げ前にすべきこと。
  5. 完成在庫はオープンハウスで売れ!

関連記事

  1. たまには建売業界の未来について真剣に考えて見ませんか?

    不動産会社経営

    たまには建売業界の未来について真剣に考えて見ませんか?

    先日、あるクライアントさんにこんな質問をされました。それは、これからの…

  2. 不動産会社の離職率を下げる唯一の方法。

    不動産会社経営

    不動産会社の離職率を下げる唯一の方法。

    不動産会社の経営者の悩みの一つに、離職率があります。辞めていく理由は色…

  3. 不動産営業マンは見た目が9割!?

    不動産会社経営

    不動産営業マンは見た目が9割!?

    先日、昔の顧客から電話をいただきました。ご紹介したい方がいるのでお時間…

  4. 不動産経営者注目!あの伝説の工務店が犯した失敗とは?

    不動産会社経営

    不動産経営者注目!あの伝説の工務店が犯した失敗とは?

    ある地方に伝説の工務店があります。今から16年前に社長一人ではじめた工…

  5. 中小建売会社が利用すべき大手ハウスメーカーの知恵。

    不動産マーケティング

    中小建売会社が利用すべき大手ハウスメーカーの知恵。

    アキュラホームが最近の住宅傾向について発表しました。この調査は、同社が…

  6. 売れる建売住宅はインテリアコーディネーターがポイント。

    不動産会社経営

    売れる建売住宅はインテリアコーディネーターがポイント。

    意外と知られていませんが、売れる建売住宅をつくる上で欠かせないものがあ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 間違いだらけの新築住宅の見せ方
  2. 弱点のある不動産の売り方。
  3. 急成長企業に学ぶ、これから売れる新築分譲住宅。
  4. 新築一戸建て会社はゴミの日の法則に学べ。

おすすめの記事

  1. 購入者の属性、把握していますか?
  2. 中小建売会社でも実践できる一発逆転のサクセスストーリー。
  3. 不動産集客はコンテンツ充実型チラシの時代!
  4. あなたの不動産会社、失敗から学んでいますか?
  5. 新築分譲住宅は現場力が決め手。
  1. 不動産広告、インターネット至上主義の落とし穴。

    不動産広告

    不動産広告、インターネット至上主義の落とし穴。
  2. あなたならどうする?用地仕入れの失敗を挽回する方法。

    不動産マーケティング

    あなたならどうする?用地仕入れの失敗を挽回する方法。
  3. 新築分譲住宅、チラシは7回撒け!の理由。

    不動産広告

    新築分譲住宅、チラシは7回撒け!の理由。
  4. 営業出身の不動産会社の経営者が陥る深い罠とは?

    不動産会社経営

    営業出身の不動産会社の経営者が陥る深い罠とは?
  5. なぜ建売住宅は短期間に販売しなければいけないのか?

    不動産マーケティング

    なぜ建売住宅は短期間に販売しなければいけないのか?
PAGE TOP