以前コンサルティングをした建売業者さんの話。
相談の内容は、値下げについて。
完成物件のひとつがかれこれ半年ぐらい売れないと悩んでいらっしゃいました。
物件はというと確かに、売れ筋とはいえない場所の物件。競合も多く、価格も少し高めです。思い切って200万円ほど値下げしようと思うのですがどう思いますか?という相談。
まあ、建売業者さんが売れなくなるとすぐに考える発想です。売れないのは価格が高いから、価格さえ適正になれば売れるというのが発想の根拠なのですが果たして正しいのでしょうか?
確かに、物件は魅力的だけど価格が高いという物件はあります。そんな物件なら問題は価格だけですから適正価格に修正すれば売れます。しかし、物件自体に魅力がないときは、この方法でやっても売れません。売れるのはよほど価格に魅力があるとき。価格の魅力が物件の魅力を上回ったときです。ただし、これではなかなか利益は出せません。
では、どうしたらいいのか?
答えは簡単です。
値下げする前に物件の魅力を上げることです。
そもそも売れないのは、その価格に対して物件の魅力が欠けているから。お客様から見るとそれだけのお金を出してその物件を購入する理由が見当たらないというのが売れない理由です。であれば、それだけの価格を出してもその物件を購入する理由がわかるように物件の価値を上げることが大切。それをしないで価格を下げても価格の魅力>物件の価値になるまでは売れません。だらだらと値下げを続けるかラッキーなお客様が現れるのを待つしかないのです。
手っ取り早い解決方法は、まず家具を入れることです。
家具付きで販売してもいいですし、家具は付けずモデルハウスにして再販売をかけてもいいでしょう。とにかく、見栄えを変えることです。営業マンが見ても、お客様が見ても目を引くような家具や雑貨を配置すること。こんな生活がしてみたかったと思わせられるような家具や雑貨が配置できるだけで家の価値は上がります。
前述の建売業者さんの場合、200万円値下げする覚悟があるのであればまずは100万円かけて家具や雑貨を配置します。できれば、センスのいいコーディネータを利用すること。お金は少し余分にかかるかもしれませんがそれ以上の価値はあります。そうやって価値を上げてから再販売をする。価格は今までと同じ価格。それでマーケットの反応を見ます。
前述の建売業者さんの場合は、このパターンでうまく行きましたがダメな場合は、100万円値下げして再度販売します。
同じ200万円の値下げでもこのパターンなら2回勝負できることになり、当然売れる確率は上がります。
大切なことは、値下げする前に物件の価値を上げること。
お客様は安い物件が欲しいのではなく、価値ある物件を安く買いたいだけなのです。
それをしないと無意味な値下げを繰り返すだけ。仲介業者も真剣には動いてくれません。
そこのところくれぐれもお間違えなく。
この記事へのコメントはありません。