商品企画を考えるとき、ついつい陥ってしまう罠(ワナ)があります。
それが、「すべての人を満足させよう」という罠です。
真面目な経営者ほど、すべての人に満足してもらえる家を建てたいと考えます。その結果、どうなるか?あれも、これもと全ての人を満足させるものを取り入れコストが莫大になってしまうか、ターゲットが誰なのか焦点の定まらない物件になってしまいます。
で、結局・・・売れない。もちろん、売れない理由は商品企画だけではありませんが、よくあるのがこのパターン。真摯に経営に取り組む経営者ほどこのパターンに陥ってしまうから厄介です。
では、どうしたらいいのか?答えは簡単です。すべての人を満足させることをやめること。一部の人だけを満足させる商品企画に変えることです。
その典型があなたもご存知のIKEAです。
格安で、おしゃれなデザイン家具として人気のIKEAですが、その来場者数は年間約2,200万人にも登ります。東京ディズニーリゾートの来場者数が年間約2,500万人ですからその来場者数は、東京ディズニーリゾートに迫る勢い。それだけ多くの人を惹きつける魅力があるということです。
そんなIKEAが大成功した理由は、デザインの良さもさることながら、最大の理由は徹底したコスト管理です。IKEAの家具は「フラットパック家具」と呼ばれ、家具をできるだけ小さく平らにして梱包されています。そのため、輸送や保管の時にスペースをとらないので大幅なコスト削減ができます。そして、それが価格優位性を生み、商品デザインの良さと相まって大人気になっているのです。
その一方で、IKEAの家具は自分で組み立てなければならないという問題を抱えます。最近では有料の組み立てサービスもありますが、それでは安く買える意味がありません。たいていの人は、フラットパック家具を車に詰め込んで自宅に持ち帰り、自分で組み立てます。もちろん、それを不満に思っている人はたくさんいます。
しかし、IKEAはそれを気にしてはいません。なぜなら文句を言う人を相手にしていないからです。面倒でも自分で組み立てる人、その分の価格の安さを魅力に感じてくれる人だけをターゲットにしているからです。
そう、優れたブランドはすべての人を喜ばせようとはません。優れたブランドは、小さくても熱狂的な顧客グループのニーズに応えるために最善を尽くし、それ以外の顧客層には最悪の企業であってもかまわないと思っているのです。
大切なことは、割り切ること。私たち中小企業こそ、IKEA以上に一部の熱狂的なお客様だけを満足させることです。それこそがあなたが優位に立てる唯一の方法です。そこのところくれぐれもお間違えなく。
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