日経MJによれば、食品スーパーのサミットが、ビギナーにもわかりやすい「だしコーナー」を作ったということです。どんな売り場かと言うと、通常はただ「乾物」として陳列される商品群を「だしを取る」ために使うものとしてまとめ直したとのこと。
煮物などに使うことが多い、「ふ」や「切り干し大根」などは別の棚に集め、だしを取るためのかつお節や煮干しなどは「出汁」と書いたPOPの下に並べたのです。ポイントは、味噌などの調味料の隣に並べたこと。初心者でも気づきやすいからです。
集めたのは約30品目で、既存の売り場で支持が高い定番商品に加え、独自商品も用意しました。付き合いのあったメーカー本社を訪れ、社長と直談判。だしを乾物から取ったことがない初心者向けの商品の開発を依頼しました。
そしてできあがったのが「日本のおだし」シリーズ。数回で使い切る小容量タイプで、「3時間は水に浸す」といった使い方もパッケージに明記。500円前後の商品が多い中で、価格も200円台と初めてでも手に取りやすくしました。販売は順調だといいます。狙い通り30代前後の客が立ち止まるようになり、新しい需要を開拓。同コーナーは他店でも展開する方針だといいます。
この記事で不動産業界でも参考になるのは、初心者用にマニアックな商品を見直した点です。乾物コーナーという、料理初心者がなかなか行かないコーナーから商品を移動し、初心者向けの商品につくり直し、乾物の使い方を初心者でもわかるようにしたのがポイント。
ついつい、私たちはお客様が商品のすべてを知っていると思ってしまいます。売り手は、毎日同じ商品に触れているため自然に商品知識が増え、マニアックになっていきます。そして、お客様の中にも私たちと同じように商品知識が増えた結果、マニアックになったお客様もいます。
そんなお客様に接していると、売り手はいつの間にかすべてのお客様がマニアックなお客様のような気がしてくるのです。そこが落とし穴です。確かに、マニアックなお客様はいます。情報化社会ですから、そんなお客様が増えるのも無理はありません。
しかし、そうでないお客様も多い。情報収集するのが面倒、自分で分析するのが面倒というお客様も同じくらいいるということです。それを忘れてしまう。マニアックな人も初心者もお客様であることには変わりありません。むしろ、どちらが売りやすいかというと初心者。マニアックな人はこだわりが強すぎて説得できない人が多いからです。
では、どうしたらいいのか?軸足を初心者に移すことです。サミットの出汁コーナーのように初心者でもわかりやすくすることです。あなたの商品はマニア向けになりすぎていませんか?売りやすいのは初心者です。まずは初心者向けの商品企画、情報提供に心がけましょう。わかりやすく伝えるようにしましょう。その方が売上げは上がりますよ。
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