新築一戸建てが売れない理由はいくつかありますが、私たちコンサルタントを悩ます最大のものは、広告宣伝費がない・・・ということです。広告宣伝費がないというのは、使い切ってしまって、ないというのではなく、最初から事業計画に広告宣伝費が含まれていないことが原因です。
広告宣伝費の話をすると建売業者さんのほとんどが、なんで広告宣伝費が必要なの?という反応をされます。多くの建売業者さんにとって広告宣伝費というのは、アットホームに払う費用を指すことがほとんど。後はパース代くらいなものです。無理もありません。今までの時代はチラシなどの広告宣伝費がなくても売れてきましたから。ビジネスモデル自体に広告宣伝費が含まれていなかったのが原因です。
パワービルダーのように、建物に圧倒的な競争力を持ち、資金回転率の高い会社(資金力のある会社)は売れなければすぐに値下げして売り切ってしまうという方法が取れます。だから、広告宣伝費が必要ありません。しかし、中小の新築分譲会社の場合は資金力が弱く、パワービルダーのように建物を安く建てるという方法は使えません。
当然、値下げにも限界があるので不良在庫は売り切る必要が出てきます。その時に、広告宣伝費が全くなければ対処のしようがありません。広告宣伝費なしでできることは、値下げだけ。当然、値下げにも限界がありますから、ギリギリまで値下げしたらあとは神頼みだけ。運を天にまかせるような経営をしなければなりません。
そんな窮地を救えるのが唯一、広告宣伝です。広告宣伝費があれば自社でチラシを撒くこともできます。新聞折込が無理なら自社でポスティングという手段もあります。捨て看板しかり、オープンハウスしかり、広告宣伝費があるかないかで窮地を脱出する方法は大きく変わってきます。
ちなみに、新築分譲マンションの広告宣伝費は1戸あたり販売価格の約5%。つまり、4,000万円のマンションなら、200万円を広告宣伝費に使っているということです。1棟ではなく1戸の広告宣伝費がこの価格ですから30戸程度の小さなマンションでも広告宣伝費はおよそ6,000万円。これだけの広告宣伝費をかけているわけですから、マンションが売れるはずです。
もちろん、中小の新築分譲会社にそこまでを要求するつもりはありません。しかし、それでもマンションの半分程度は確保する必要があるでしょう。逆にそれだけの経費が確保できないようであれば、事業計画に無理がある証拠。一か八かのギャンブルになってしまいます。
住宅業界は新築一戸建ても新築マンションも決して景気のいい業界ではありません。今後もこの状況が大きく変わるとは考えにくい。であれば、今までの広告をしないで売るという売り方を改めるべきです。パワービルダーと同じ販売戦略を取らないということです。競争が激しくなればなるほど広告宣伝力のある企業が優位に立ちます。最後は、広告力。この機会にぜひお考えください。
この記事へのコメントはありません。