勉強好きな経営者の方に、時々質問されることがあります。
そのひとつが、名言の矛盾です。
名経営者、名経済学者と呼ばれる人の名言には矛盾することが多い。ある人はカラスは黒いといい、またある人はカラスは白いという。どちらを信じたらいいのかわからなくないというものです。
例えば、ドラッカーの名言のひとつに以下のようなものがあります。
「誰でも、自らの強みはについてはよくわかっていると思っている。
だが、たいていは間違っている。
わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。
しかし何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。
弱みによって何かをおこなうことはできない。」
そして、強みを生かすためには
・成果を生み出す強みに集中する
・苦手の分野の仕事は引き受けない
・努力しても並にしかなれないことはしない
その一方で、ザ・ゴールの著者、ゴールドラット博士は、
「組織の能力を短期間にかつ最大限に高めるには組織で最も弱い部分を集中的に強化すればいい」
といいます。つまり、弱みを強化しろというのです。
まさに、矛盾。
勉強家の経営者であればあるほどこんな矛盾に悩まされます。
そして、悩んだあげく行動できなくなってしまうのです。
実は、これはどちらも正解です。ドラッカーはこうもいます。
「無能を並にすることは一流を超一流にすることよりもはるかに難しい。
しかし、誰でも知りえることを、苦手だから専門外だからと知らなくて良いわけではない。
知らないことが仕事の失敗につながる。
技能や知識を身に付ける努力は、強みを伸ばし生かすために重要なことである。」
つまり、強みを生かすためには、最低限の知識は必要だということ。
そのための努力は必要だということです。
もっと言えば、組織の弱い部分を強化する仕事は、あなたがしなくてもできるということです。
もしあなたがするより、外部の人に頼んだ方が効果的なら、それを利用すれば簡単に弱みを強化できます。
そうすればその間も、あなたは自分の強みを生かすことに専念できる。
つまり、強みを生かしながら弱みも強化できるということです。
一見、矛盾する2つの名言ですが、つきつめて考えたり、視点を変えると案外両立できることもあります。
大切なことは、つきつめて考える事。
そして、わからなければとりあえずどちらも試してみること。
矛盾しているからといって行動しないことが最悪の状態です。
あなたはいかがですか。
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