ある新築分譲住宅の販売現地でのこと。
売主業者さんから現地を見てアドバイスが欲しいと依頼がありました。現地は、全6棟の開発分譲地。全棟完成済みですが、売れたのは2棟。そろそろ不安になって来た頃でした。場所的には、決して悪くない場所。閑静な住宅街にあり駅からも歩ける距離です。
どちらかというと高級マンションが建つような場所で、実際、現地のすぐそばには新築マンションが建設されていました。難点は、価格が高価格帯になること。新築マンションの価格帯が6,000万円近い場所なので仕方ありません。それでも、新築一戸建ての供給が少ない場所だったせいか、売出した当初はいろんな仲介業者が現地売出しをやってくれました。しかし、完成しても売れ行きが良くないとオープンハウスをやってくれる業者も少なくなるものです。最近では、オープンハウスの依頼もほとんどなくなっていました。
現地を見た限り建物の外観は決して悪くありません。外構工事もしっかりされており、好感の持てる雰囲気に仕上がっています。建物の内装も今風に仕上がっており問題なさそう。現場のどこかが決定的に悪いために売れないという感じではありません。唯一、問題があるとするとモデルハウスに置かれている家具や飾り付けが今イチなところ。ひとことで言うと、ダサいという感じです。具体的には、家具が安っぽい。小物の飾り付けが古くさい。小物のセンスが悪い。そのため、せっかくのモデルハウスがモデルハウスの役目を果たしていないのです。
実は、これはよくあること。売主が気づいていないだけでよく見る光景です。
原因は、売主。売主が自分の趣味で家具や小物を選んでいるからです。今回の現場もまさにそう。売主さんが自分の趣味で選んでいました。売主さんの年齢はすでに50代後半。購入する客層とは明らかに違います。その上、男性となれば・・・
大切なことは、客層の好みに合わせること。30代で少し高級な価格帯の建物を購入する人はどんな人なのか、その客層はどんなライフスタイルを好むのか。それらを想定して客層に合わせることです。一番簡単な方法は、同じ価格帯の新築マンションのモデルルームを見ること。マンションのモデルルームと同じような家具、同じような小物を利用するだけで建物の魅力は倍増します。
それが難しいなら、購入する客層と同じような年齢のインテリアコーディネイターに依頼することです。今回の現場のように価格が高価格帯の物件は来場者は多く見込めません。そうなると、来場したときが勝負。その1回で、お客様を魅了しないと成約できません。だからこそ、現場の飾り付けが重要なのです。
モデルハウスを家具や小物で飾ることはとても効果的な方法です。効果的だからこそ新築マンションや住宅展示場は家具や小物で飾っているのです。例外はありません。それほど効果的な手法ですがセンスが悪くては返って逆効果。そこのところくれぐれもご注意ください。
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