人間は感情で生きる動物です。だから、いくらその商品が良くても感情を害されると購入には至りません。建売住宅の場合、多くの建売業者さんは仲介業者を通して販売しています。そのため、仲介業者のお客様への対応次第でせっかく丹精込めてつくった家も評価は一変します。
先日もある建売住宅で残念な現場を見ました。それは、オープンハウスでの出来事でした。
地元でもいい建物をつくることで有名な建売業者さん。今回は、過去最高傑作と言えるような気合の入った物件です。外観から間取り、インテリアに至るまでこれが建売住宅?と言えるような素晴らしさ。当然、価格も高額ですが、予算のあるお客様なら一瞬で心を奪われそうな物件です。
そんな物件なのですが、唯一難点がありました。それは、仲介業者がリビングに置いたテーブルと椅子です。フローリングを痛めないように床に敷かれたビニールの敷物。その上には、折りたたみ式の安っぽいスツールとテーブルが無造作に置かれていました。
もちろん、仲介業者には悪気はありません。いつものオープンハウスをいつもどおりにやっているだけなのですが、明らかにこの家にはミスマッチ。せっかくのおしゃれな外観やインテリアがそれによって台無しになっていたのです。
せっかく購入に向け高まった気持ちを一気にゼロに戻すような逆演出。まあ、そんな細かいこと言わなくても、という人もいらっしゃるかもしれませんが、販売の現場では、こんな細かいことが大きな違いを生みます。
営業マンの不用意な一言がお客様の気分を害して、購入をやめさせることがあるのと同じように、たった一つのミスが、数千万円の取引を遠ざけることは少なくありません。
では、今回の場合はどうすればよかったのか?
一番いい方法は、売主がテーブルと椅子を用意しておくことです。建物と調和するような椅子、テーブル、ラグをチョイスし、そこで接客させるというひと手間が必要です。
実際、お客様はその空間に長い時間いればいるほど購買意欲は高まります。その意味でも、椅子に座らせてじっくり話をすることは大切。だとすれば、接客用の椅子やテーブルにこだわることには十分価値があります。
本来はモデルハウスのように家具を入れる方がいいのですが、予算の関係でそこまでできないのであれば、せめて接客用のテーブルと椅子だけでもいいものを準備しておきましょう。仲介業者にお任せは危険ですよ。
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