多くの建売業者さんと話をしていて思うことがあります。それは、ほとんどの建売業者さんがお客様が見えていないということです。
お客様が見えていないというのは、どんなお客様が買ってくれるのかがわかっていないということ。なぜ、そのお客様があなたの建売住宅を買ってくれたのか、その理由をわかっていないということです。
実は、これは致命傷。仮に今、ビジネスが上手くいっていても将来、大きな失敗に繋がる可能性があります。いやむしろ、今ビジネスが上手くいっている会社ほど危ない。それくらい重大なことなのです。
以前、こんなことがありました。ある建売業者さんが和風の建売住宅を建てました。和風といっても純和風ではなく、和モダンな感じ。玄関を上がると廊下には畳が敷き詰められ、まるで旅館のような雰囲気。落ち着くといえば落ち着きますが、奇抜といえば奇抜です。
社長曰く、「最近の建売住宅はどれも洋風の家ばかり。自分たちが住みたいような和風の家がない」ということで、1棟だけ建ててみたのですが、これがなんと完成から1ヶ月程度ですぐに売れてしまったのです。
これに気を良くした社長は、新しい現場(4棟現場)の建物をすべて同じような和風の家にしてしまいました。結果は、惨敗。今度は完成しても全く売れません。挙げ句の果てに、売れない理由が和風の内装が気に入らない、自分たちのイメージに合わない、というものばかり。最終的には、和風の内装を洋風につくり直して販売することになったのです。
これは、最初に売れた和風の家がなぜ売れたのかを理解していなかったことが原因です。理解していなかったというより、間違って理解していたということです。
最初の物件を購入したお客様も実は和風の家を気に入って購入したわけではありませんでした。学区内で久しぶりに新築物件が出たから購入しただけのこと。滅多に新築物件が売りにでない場所だから購入したというのが真相です。
そんな理由をちゃんと把握していれば、失敗は防げていたのですが、売れたという事実に舞い上がってしまった結果、自分の見立ては正しい、他の現場も同じようにやれば売れる、と錯覚してしまったのです。
ここで私たちが参考にしなければいけないことは、売れたという事実ではなく、なぜ売れたのか、購入を決めた理由はなんだったのかということを把握しておくことが重要だということです。あなたは、売れた理由を把握していますか?契約が終わったら、まず売れた理由を確認しましょう。そして、自分が想定した理由と同じかどうかを確かめましょう。
想定した理由、想定した客層なら、あなたのセンスは正しいということ。まだまだ現役で頑張れる、ということです。チャレンジしてみてください。
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