不動産広告にはいろんな制約があります。なかでも一番やっかいなのが不当表示に関するもの。
不当表示防止法によれば、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」は禁止されています。
なんだかよくわからない表現ですが、要するに、実際のものよりも著しく優良であり、もしくは、優良であると人を誤認させるような表現はしてはいけないということ。
最高とか、抜群とか、特選、完全はもちろん、完売という表現も、著しく人気が高く、売行きがいいという印象を与えるので、禁止されています。そこまで実際の商品より優良であると人を誤認させるような表現を広告で禁止しているのに、ひとつだけ禁止されていないものがあります。
それがモデルハウスの家具です。言葉で消費者を商品に誘引するのは禁止しているにもかかわらず、家具や調度品では消費者を商品に誘引することは許される。なんとも奇妙な法律が、不当表示防止法。
モデルハウスの写真を掲載するときも「家具は含まれません」という言葉を添えれば写真の掲載も可能ですから、片手落ち感が否めません。だとすれば、言葉の代わりにこれを利用しない手はありません。実際、大手と呼ばれる建売業者はたいていモデルハウスに家具を設置しています。
なぜなら、その方が売りやすいから。物件の魅力を倍増させるのにもっとも効果的な方法、且つ、不当表示防止法に引っかからない合法的なやり方だからです。
それを知らないのは中小零細の建売業者だけ。
法律を的確に遵守しているのか、抜け道を知らないだけなのか、その効果を理解していないのか、わかりませんがほとんどの業者がモデルハウスに家具を置こうとしていません。素敵な家具を置くだけで売れる確率が格段に上がるというのに、です。
家具代がもったいないというのが大抵の理由ですがワンセットだけでも見栄えのする家具や調度品を揃えておきましょう。そして、この合法的な抜け道を利用しましょう。
家具や調度品は化粧と同じです。すっぴんのままお客様に会った方が売れるか、化粧してお客様に会った方が売れるか、あなたはどちらの方が売れると思いますか?
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