人間とは不思議なもので、いつの間にか自分の常識が世間の常識だと思ってしまいます。例えば、年収。稼いでいる建売会社の社長さんは、周りも同じような生活レベルの人が多いせいか、どうしても世間の年収レベルも高めに見積もってしまいます。
国税庁が行った「民間給与実態統計調査」によると、平成26年の20代前半の男性の平均年収は265万円、20代後半の男性の平均年収は371万円ということがわかりました。20代男性の平均年収は318万円です。また、30代前半の男性は438万円、30代後半の男性は499万円。30代男性の平均年収は468万円という結果になりました。
総合してみてみると20~30代男性の平均年収は393万円。働いている職種や業種によっても違いますが、だいたい400万円が一般的な平均年収です。
ときどきテレビの婚活番組などで「男は年収600万円以上じゃないと結婚しない」なんていう女性がいますが、平成25年 民間給与実態統計調査結果によると年収600万円以上を稼ぐ人は男性のうち8.0%程度しかいません。(既婚者を含んだ割合です)ちなみに年収1,000万円以上の人は、全体のわずか4.1%、男性のうち6.6%しかいません。これが現実です。
さらに、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によると、1世帯当たりの平均所得は528万9000円、18歳以下の子どもや65歳以上のお年寄りがいる世帯の平均所得は696万円だと言われています。
このうち、生活を「大変苦しい」と答えたのは29・7%、「やや苦しい」は32.7%です。合計して67.4%が「苦しい」と回答しています。つまり、1世帯あたりの所得が500~700万円だと生活するのに厳しいと感じる人が多いということ。
当然、生活が苦しいという人に住宅の購入は難しいでしょうから、その上の層を狙っていかなければなりません。そこで重要になってくる考え方が、世帯年収という考え方です。
何しろ、この統計でもわかるように男性一人で十分家族を養っていける人はほんの一握りしかいないからです。ほんの一握りの人を相手にするよりも、夫婦共稼ぎ世帯を狙った方が購入予備軍は増えます。年収1,000万円の男性を探すより、夫婦で年収1,000万円の世帯を探した方が簡単ですし、母数も増えます。
その上、共稼ぎ世帯の生活スタイルや悩み、不満なども比較的容易に想像できますから、商品企画も立てやすい。いいことづくめです。
大切なのは、現実をしっかり見ること。現実に即した戦略を立てることです。建売会社の社長の生活レベルは世間の生活レベルとは違います。そこのところくれぐれもお間違えなく。
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