ある新築一戸建ての売出し現場での話。
その新築住宅は、クルマ通りの多い場所に建っていました。幹線道路とまではいきませんが、それなりにクルマの通行の多い場所。騒音もそれなりです。
その日は、朝からある仲介業者さんがオープンハウスをしていました。天気のいい日だったせいか全ての窓を全開にしてのオープンハウス。確かに、窓を全開にすると空気の流れも良くなり開放感も感じます。
しかし、考えなければいけないのが騒音の問題。
せっかく開放感を演出しても騒音で購買意欲が減退しては元も子もありません。開放感を取るか騒音のリスクを回避するか現場ごとに決める必要があります。
当たり前のことと言えば当たり前のことなのですが、それをわかっていない業者もたくさんいます。何も考えず、どこの現場でもいつも同じやり方という仲介業者もいれば、ありのままを見せればいいという独特の信念でやっている業者もいます。もちろん、それで売れればいいのですが世の中そんなに甘くはありません。
欠点を欠点のまま見せるのは売り手としては失格。
欠点を、大した欠点ではないと感じさせることができるのが賢い売り手です。
ちなみに騒音と呼ばれる音は、世界保健機関(WHO)によれば、日中が55デジベル、夜間が45デジベル。最近は、スマートフォンの無料アプリで騒音を計測することができるので、うるさいかも・・・と思ったらまず測定してみることです。そして騒音と呼ばれる音を感じる物件であれば、準備段階では窓を開けて空気の入れ替えをしますが、実際のオープンハウスでは窓を閉めるのが鉄則。できれば、BGM(バックグラウンドミュージック)も流しておくことです。
BGMには2つの効果があります。
ひとつはマスキング効果。マスキングとは音で他の音を隠してしまうこと。そしてもうひとつは、購買意欲を高める効果。音楽は理性でなく直接感情にアピールするため、お客様の感情や情緒を刺激して購買意欲を換気します。
BGMを流す際に注意すべきことは自分の好みでBGMを決めないこと。
家という商品を売るのにふさわしいBGMを流すことが大切です。一般的には、ゆったりしたテンポの遅めの曲。ホテルのロビーに流れる音楽や癒し系の音楽が無難でしょう。
注意しなければならないのは人の声の入った音楽。たまにラジオ放送をBGM代わりに使っている人がいますが、人の声は集中力の妨げになるため、ラジオはもちろん、ボーカルの入った音楽も避けた方が賢明。BGMを決めるのも簡単ではありません。ただ、これらのことを仲介業者に求めるのは酷な話。やはり売主側で準備すべきでしょう。
せっかくのオープンハウス。
効果が最大になるよう工夫したいものです。
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