不動産マーケティング

昔の常識に惑わされていませんか?

以前、コンサルティングをしたあるクライアントさんの話。

大きな会社ではないのですが、地元ではそこそこ実績のある建売業者さん。通常は、小さな(1棟〜4棟)現場が多いのですが、その物件は10棟現場。会社としてはかなり大きな現場でした。

社運を賭けてとまでは行きませんが、かなり気合いの入った現場。建物も通常よりワンランク上に設定。自社の代表的な現場になるよう力を入れて開発しました。

場所自体は、とてもいい場所。閑静な住宅街という言葉がピッタリの落ち着いた雰囲気の場所です。造成中から仲介業者の注目を集め、引き合いは多かったのですが、担当者の強い希望で、建物が完成するまでは一切販売しないという方針。中途半場な状態より完成物件を見せた方が決まる!という常識(?)を貫いたのです。

結果は?というと大惨敗。全く売れません。現場を見ると、とても感じのいい現場に仕上がっているのですが、売れないのです。

理由は明白でした。
競合が増えたから。

その建売業者さんが土地を購入した頃とは比べものにならないくらい、競合物件が増えたのです。もちろん、10棟現場というような大きな現場はありません。2〜4棟の小さな現場ばかりですが、建築中のものも含めるとかなりの数。その上、価格もこの建売業者さんの価格と比べると1〜2割は安い物件ばかり。気がつけば地域最高値の物件になっていたのです。

こうなると売るのは簡単ではありません。高いというイメージが定着してしまったからです。それは、レインズを見ると一目瞭然。現場を知らない営業マンから見ると、安い物件を売るための「おとり」にしか見えないからです。こんな場合の解決策は、高い理由を営業マンとお客様に理解してもらうしかありません。

なぜこの価格なのか?
なぜ高くてもこの物件を買った方がいいのか?安い物件とどこがどう違っているのかを、説得力があるように説明するし
かありません。

当然、販売ツールも新しくする必要があります。チラシなりパンフレットなりでわかりやすく説明しない限り、営業マン
やお客様は自ら理解しようとはしてくれないからです。

安い物件を売るのに説明は必要ありません。価格がすべてを語ってくれます。しかし、高い物件を売るのには説明が必
要です。相手を納得させる言葉が必要です。

今回の最大の失敗は、販売時期を遅らせたことです。そのため、自ら競合を増やし、自ら説得する手間を増やしました。どんなに魅力的な物件もタイミングを間違えると売れません。そこのところくれぐれもお忘れなく。

 

ピックアップ記事

  1. 不動産会社必読!ネット情報力と売上の関係。
  2. 売れる建売会社になるために必要な予算とは?
  3. 急成長企業に学ぶ、これから売れる新築分譲住宅。
  4. 価格競争に巻き込まれない新築分譲住宅のつくり方。
  5. 建売業界は知恵で差別化する時代。

関連記事

  1. 難しい専門用語が売上を落とす!

    不動産マーケティング

    難しい専門用語を使えば使うほど売上は落ちる!

    先日、インターネットを見ていたら面白い記事がありました。 それはア…

  2. 価格競争に巻き込まれる物件、巻き込まれない物件。その違いとは?

    不動産マーケティング

    価格競争に巻き込まれる物件、巻き込まれない物件。その違いとは?

    「価格競争に巻き込まれないようにするにはどうしたらいいですか?」という…

  3. 売れる不動産の極意はセブンカフェで学べ!

    不動産マーケティング

    売れる不動産の極意はセブンカフェで学べ!

    セブンイレブンのコーヒーが買いやすくなったと話題になっています。 …

  4. なぜ物件によって売れる販売方法が違うのか?

    不動産マーケティング

    なぜ物件によって売れる販売方法が違うのか?

    「勝ちに不思議の勝ちあり、  負けに不思議の負けなし」野球の野…

  5. たった「ひと言」であなたの物件を売れる不動産に変える方法。

    不動産マーケティング

    たった「ひと言」であなたの物件を売れる不動産に変える方法。

    商品を売る上で、もっとも効果的な方法は自社の強みで勝負すること。競…

  6. お金をかけずに物件も魅力を2割増しにする方法。

    不動産マーケティング

    お金をかけずに物件の魅力を2割増しで伝える方法。

    以前ある人が、引き込まれる話と引き込まれない話の違いについて語っていま…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 間違いだらけの新築住宅の見せ方
  2. 弱点のある不動産の売り方。
  3. 急成長企業に学ぶ、これから売れる新築分譲住宅。
  4. 新築一戸建て会社はゴミの日の法則に学べ。

おすすめの記事

  1. 仕入れに失敗した建売用地、あなたならどうする?
  2. あなたの物件の評価を下げる意外なポイント。
  3. 価格競争に巻き込まれる物件、巻き込まれない物件。その違いとは…
  4. 一粒で二度おいしいアンケート結果の使い方。
  5. 現地販売会を成功に導く「3回安定10固定の法則」とは?
  1. 残念!こんな不動産の値下げは失敗する。

    不動産マーケティング

    残念!こんな不動産の値下げは失敗する。
  2. 不動産を早く売却するコツは値下げより価値の値上げ!

    不動産売却

    不動産を早く売却するコツは値下げより価値の値上げ!
  3. これだけでOK!ライバルに打ち勝つ戦略の立て方。

    不動産会社経営

    これだけでOK!ライバル業者に打ち勝つ戦略の立て方。
  4. 不動産マーケティング

    妖怪ウォッチに学ぶ、売れる建売住宅のつくり方。
  5. どうすれば不動産会社の社内改革は成功するのか?

    不動産会社経営

    どうすれば不動産会社の社内改革は成功するのか?
PAGE TOP