私が口を酸っぱくするほどクライアントさんに言うことの一つが、
「購入者の属性を知れ!」ということ。
どんなに今売れていても、
どんなに自慢の家をつくっていても、
購入者の属性を知ることを怠っていてはいづれ大きなしっぺ返しを受けます。
それほど重要な購入者の属性。
購入者の属性とは、
・家族構成
・年齢
・職業(勤務先)
・住宅ローンの額
・頭金(誰が出したのか)
・現在住んでいる家の場所と種類
(賃貸マンションかアパートか社宅か)
・購入理由
・どれくらい探していたのか(期間)
・仲介業者はどこか?
などなど、とにかく聞けることはすべて聞くというのが大切です。
しかし、現実はほとんどの建売業者さんが購入者の属性を十分に把握していません。
把握していない理由は2つ。
ひとつは、お客様を見つけるのは仲介業者の仕事だと思っているから。
もう一つは、それを知ってもメリットがないと思っているからです。
しかし、それは私たちコンサルタントからすると大きな間違い。
なぜなら購入者が誰かを知らなければ、その人たちを喜ばす商品はつくれないからです。
先日もある会社の会議で、社長がこんなことを言っていました。
その会社としては、かなり高額な建売住宅の販売を計画していました。
その額は7,000万円超。
都内の物件ですから、それくらいの価格にはなるのですが、有名なデザイナーの力を借りてかなりイケるプランができました。当然、社長も納得すると思いきや、いきなりデザインにクレームをつけてきたのです。詳しいことは省きますが、要するにこのプランでは7,000万円を超える物件を購入する人にはふさわしくない、ということ。
7,000万円を買う人はお金持ちなんだから、もっとお金持ちの気持ちになって考えろ、というのです。もちろん、この社長が最近の購入者のデータを把握している上で、そんな話が出てきたのなら納得できます。
7,000万円の新築一戸建てを購入する人の年収が3,000万円以上ばかりというなら、わかります。しかし、現実は違います。都心で7,000円程度の物件を購入する人はそんな高額所得者ばかりではありません。
7,000万円程度の借り入れなら、世帯年収が900万円もあれば十分。以前、私が仲介したお客様は、ご主人の年収が550万円、奥様の年収が350万円という共働きのご夫婦でした。
購入した理由は、会社に近いからというのが最大の理由。子どもがいないので、なんとか払っていけるというのです。つまり、7,000万円程度の物件であれば、そこそこの企業に勤めている共稼ぎ夫婦なら購入できるということ。独身でもそこそこの収入のある人なら購入できるということです。
逆に、4人家族で子どもの教育費にお金がかかる世帯では年収1,000万円を超えていても厳しいのが現実。そんなことが、購入者の属性を把握していくと自然に見えてくるのです。
売れる建売住宅をつくるには、購入者の属性を知ることが欠かせません。今、どんな人が、なぜ購入しているのか。それを知ることを忘れた時、会社の衰退は始まります。
この記事へのコメントはありません。