あなたならどうする?用地仕入れの失敗を挽回する方法。

不動産マーケティング

あなたならどうする?用地仕入れの失敗を挽回する方法。

以前、相談を受けた物件の話。ご相談者にいらしたのは、建売会社の営業部長さん。新しく仕入れた物件が売れそうにないのでなんとかならないか、という相談でした。

新しく仕入れた土地というのが、駅から遠く、日当たりや住環境もよくないというのです。なぜ、そんな土地を仕入れたのですか?と聞くと、資金繰りのため、という返事が返ってきました。売りにくいのはわかっていたけど、運転資金を確保するためにどうしても仕入れなければいけなかった・・・というのです。

色々、言いたいことはありましたが、仕入れたあとでは今更何を言ってもはじまりません。今はなんとかしてこの苦境を乗り越えるだけ。乗り越えた後にしっかり話をするしかありません。

物件の状況をもう少し詳しく説明すると、近隣にも何棟か同じような物件が売り出されているそうです。ただ、その物件も売れ行きは良くない。人気はないけど、仕入れる土地には苦労しない、そんな場所です。

そんな中でも、相談された物件は群を抜く価格の高さ。同じようなスペックの物件と比べて500万円位は高くなるといいます。問題は、どうやって500万円も高い物件を売り切るか?他社と同じ商品企画では、500万円という価格差は埋められません。

同じような広さ、同じような立地条件にもかかわらず500万円高くても欲しくなる家とは?というのが今回のテーマです。さて、あなたならどうしますか?

まずやってはいけないことは、競合する物件と同じような企画の家をつくらないということです。外観や設備など、比較しやすい部分を競合と同じにすると余計価格の高さが目立ちます。だからあえて、競合とは異なるコンセプトにするのが定石。外観デザインを変えるとか、間取りを変えるというのがいい
でしょう。

なるべく施工費用を上げずに差別化をはかりたいなら、間取りを工夫するのが一番です。そのためには、買う人を絞り込む。共稼の忙しい主婦にターゲットを絞るなら、徹底的に時短できる間取りにするのが得策です。

すべての生活動線を短くして、少しでも家事の負担をなくすようにすればこれは立派な差別化。500万円の価格差を埋めることができるかもしれません。もちろん、実際はそれだけで500万円の価格は埋まりませんが、そんな努力を重ねていくと、どんぴしゃりなターゲットが見つかる可能性は高まります。

もうひとつ大事なことは、ライバルとの違いをハッキリと言葉で説明できるようにすること。チラシやインターネット、販売図面、セールストークなどあらゆる媒体を使って説明することです。これがとっても重要。なぜなら、言葉にして伝えなければ何も伝わらないからです。

問題のある物件は、ある意味、吹っ切れて勝負できる物件です。そんな物件が出てきたときは、思い切ってターゲットを絞った物件をつくりましょう。売れなくて元々。売れればいい経験になります。めげずに頑張りましょう。

 

ピックアップ記事

  1. 不動産仲介業者をリスペクトしていますか?
  2. あなたにもできる!弱点のある不動産の売り方。
  3. 新築分譲住宅を営業マンに頼らないで売る方法。
  4. 建売業者は広告力を磨け!
  5. 新築分譲住宅、ヒット商品はこうして生まれる。

関連記事

  1. あなたの知らない大手ハウスメーカーの本当の客層。

    不動産マーケティング

    あなたの知らない大手ハウスメーカーの本当の客層。

    先日、ある大手ハウスメーカーの担当者と話をする機会がありました。誰もが…

  2. 家余り時代(成熟期)に売れる新築住宅とは?

    不動産マーケティング

    家余り時代(成熟期)に売れる新築住宅とは?

    新潟県三条市にタダフサという包丁メーカーがあります。昭和23年創業の老…

  3. 不動産集客はGISポスティングの時代。

    不動産マーケティング

    不動産集客はGISポスティングの時代。

    建売住宅が売れない最大の理由は、広告不足。私は、これに尽きると思ってい…

  4. 不動産マーケティング

    その色使い、間違っていませんか?

    多くの建売住宅を見ていると立地や価格は問題ないのに「この家は売りにくい…

  5. えっ本当?売れる物件を作りたいならお客様の声を聞いてはいけない。

    不動産マーケティング

    えっ本当?売れる物件を作りたいならお客様の声を聞いてはいけない。

    売れる商品や売れるサービスを考えるとき、まず最初に言われるのが「お客様…

  6. お金をかけずにできる最強の差別化戦略。

    不動産マーケティング

    お金をかけずにできる超簡単な差別化戦略。

    売れない物件を見ていると気づくことがあります。 それは、売れない物…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 間違いだらけの新築住宅の見せ方
  2. 弱点のある不動産の売り方。
  3. 急成長企業に学ぶ、これから売れる新築分譲住宅。
  4. 新築一戸建て会社はゴミの日の法則に学べ。

おすすめの記事

  1. 売れ行きを左右するビジネスの大原則とは?
  2. 建売会社がホームページをつくる前に考えるべきこと。
  3. 現地販売会を成功に導く「3回安定10固定の法則」とは?
  4. あなたの新築住宅が即日完売できない最大の理由。
  5. どうすれば不動産会社の社内改革は成功するのか?
  1. 中小建売業者は高く売る技術を鍛えろ!

    不動産会社経営

    中小建売業者は高く売る技術を鍛えろ!
  2. 売れてる建売会社や設計事務所が習慣にしていること。

    不動産マーケティング

    売れてる建売会社や設計事務所が習慣にしていること。
  3. 不動産広告に現地看板が効果的な理由。

    不動産広告

    不動産広告に現地看板が効果的な理由とは?
  4. 用地仕入れ担当者が陥る、確証バイアスの罠。

    不動産会社経営

    用地仕入れ担当者が陥る、確証バイアスの罠。
  5. 販売図面を利用して成約率を2割上げる方法。

    不動産マーケティング

    販売図面を利用して成約率を2割上げる方法。
PAGE TOP