日経MJによれば、ブルボンのお菓子「濃厚チョコブラウニー」が人気です。菓子業界でヒット商品を作るのは本当に難しいといわれていますが、この商品もヒットするまでには、苦難の道がありました。
お菓子の新商品は発売後2〜3週間の販売が不振ならコンビニエンスストアなどの棚から外されるといいます。実は、この商品も発売2週間で一度はコンビニの棚から姿を消しました。それが復活したのは、九州の営業担当者の強い思い入れ。
「もともとは若者を狙った商品。大学生に食べてもらえれば受け入れられる」と長崎県の大学生活協同組合に商品を持ち込んだといいます。結果は1日で55個が売れました。
手応えを感じ九州の生協で一斉に販売。生協がSNSで周知したことも手伝い、瞬く間に学生ファンが増えました。その結果、徐々にスーパーの棚に戻り始めましたが、「若者向けだから生協で売れただけ」と否定的なバイヤーも多く完全復活とはいきませんでした。
そこで次のターゲットにしたのが40〜80歳代が主要客層の高知県のスーパーでした。「ここで売れれば全国で売れる」と、主婦を狙った販促を仕掛けたのです。
ポイントは、30代後半から40代後半の主婦の1日の生活を細かく想定し、ストーリーを仕立てたこと。家族との会話が少ない主婦。朝食を作り、夫と子どもを送り出し、掃除・洗濯を終えるとパートに出る。
帰宅途中にぱっとスーパーにより、チラシ片手に特売品をかごに入れる。帰宅後は夕食の準備をするが、楽しみに買ったチョコレートは子どもが食べてしまう。
見えてきたのは、「ぜいたくをしない」「チラシに載っているものを買い、菓子売り場に寄らない」「おやつは子どもが食べてしまう」「間食はぱっと食べる」といった主婦。
そこで、同品は1人用のバータイプで忙しくてもすぐに食べられる。「主婦にもぴったりの商品だ」として、レジ前に商品を陣取らせ、小さなPOPで「お母さん、あなたへのごほうびです」と一言添えて販売。
その結果、午後4〜6時のうちに並べた30個の7割が売れたといいます。購入者の8割は40歳代の女性。このスーパーは他店でも採用を増やし、今年のバレンタインデーで最も売れたチョコレートとなったそうです。
高知での実績を目にした他の小売店は再び棚に並べ始め、2014年度は単品で前年度比2倍以上、シリーズ全体で約3倍増えたといいます。まさに、マーケティングの教科書に載っているような事例。現実の話ですから説得力があります。
この事例からは、いろんなことが教訓になりますが、もっとも重要なことは、ターゲットを絞って販促をかけたということです。ターゲットを学生に絞って販促をかけたときは、生協を利用した。主婦にターゲットを絞ったときは、スーパーを利用した。圧巻は、「お母さんへ、あなたへのごほうびです」というPOP。これで見事に主婦の心を掴んでいます。
これはそのまま住宅の販売にも応用できます。購入するお客様を絞り、そのお客様の生活を細かく想定しストーリーを立てる。そして、そのストーリーから生まれた人物へ適切なメッセージを投げかける。そうすることによって、漠然とした商品がその人物のための商品に変身する、だから売れるのです。
あなたの商品は、ターゲットを絞っていますか?ターゲットに向けたメッセージを放っていますか?
必要なのは、ターゲットを絞ること。そして、ターゲットの心にささるメッセージ。それさえあれば、あなたの物件はもっとラクに売れていきます。お試しください。
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