「スタバ空白県」だった鳥取県に、ついに「スターバックスコーヒー シャミネ鳥取店」がオープンしました。初日の売り上げは、同チェーンの日本国内開店初日最高売り上げを達成。
具体的な売り上げ金額や来客者数などは公表されていませんが、開店前日の昼ごろからお客様が集まり始め、午前7時の開店時には、約1000人が行列を作る盛況ぶり。この行列は閉店時まで途切れることはなかったそうです。改めてスターバックスの強さを感じさせる出来事でした。
それほどまでにファンをつくり続けるスターバックスですが、この会社は新しいコーヒーを発明したわけではありません。コーヒー文化を「カッコいいもの」にしただけです。
実際、スターバックスの創業者であるハワード・シュルツは、人々に彼の提供するコーヒーを楽しんでもらいたいと思っているわけではありません。コーヒー文化、つまり、スターバックスのコーヒー体験によってもたらされる眺めや香り、音、雰囲気、感情を体験して欲しいと思っているのです。
ハワード・シュルツはスターバックスを、コーヒーショップではなく、「人が集う場所」として心に描いていました。そこは、「Sサイズ」が「トール」、「Mサイズ」が「グランデ」、「Lサイズ」が「ヴェンティ」と呼ばれるコーヒーを飲みに行く場所です。
こうしたスターバックスだけで通用するサイズはカッコいい感じがしますし、これらのサイズで注文すると私たちは「クラブ」のメンバーになった気分になります。そう、スターバックスは、誰でも歓迎される「排他的な」クラブなのです。
私たちは、コーヒーを飲むためだけにスタバに行くのではなく、「排他的な」クラブ体験をするためにスタバに行くのです。マーケティングでは、これを体験を売るといいます。
スターバックスがヒットした理由はまさにこれ。コーヒーを売るのではなく、コーヒーショップで得られる排他的な体験を売っているから。だから、多くの人を魅了し続けるのです。コーヒーを売る店はいくらでもあります。しかし、スタバのような体験ができる店はスタバしかありません。そこが、スターバックスが支持され続ける理由。人気の理由です。
建売住宅もしかり。多くの建売業者さんは、家というハードを売っています。その結果、陥るのは価格競争です。しかし、人気があって、儲かっている建売業者さんは、家での体験を売っています。その家でしか得られない家族の体験、その家でしか得られない気持ちの変化、そんなものを売っている会社は価格競争には陥りません。
大切なことは、物ではなく体験を売ること。それができるようになれば、建売住宅の販売はもっとラクで楽しいものになります。じっくり考えてみてはいかがですか。
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