以前、ある新築分譲会社からコンサルティングを頼まれたときのこと。
その会社は、そこそこ売れている新築分譲会社でした。売上も安定していて、地元では確かに売れている会社です。そんな会社が私にコンサルティングを依頼してきたのは、ある現場が全然売れないからでした。
その現場は、普段自分たちが営業しているエリアとは少し違う地域。業務拡大のためにはじめて進出したエリアでした。地元ではそれなりの実績を上げてきただけに、新しく進出したエリアに対しても自信はあったようです。
しかし、蓋を開けてみると全く売れない。地元ならとっくに売れているはずなのに、うんともすんとも言わない。そんな状況が続きました。そこで私に依頼がきたのですが、まぁ、そのエリアを知っている私からすれば、逆にその現場がすぐに売れるというのが信じられない。何を根拠にその物件を仕入れたのかわからない・・・というのが正直な感想でした。要するに、難しい現場を仕入れていたのです。ただ、本人たちにはその自覚が全くない。だから対策が立たないのです。
売れないのには理由があります。
・価格が高い
・立地が悪い
・商品企画が悪い
・売り方が悪い
大抵はこのどれか。今回の場合は、価格は普通、立地は悪い、商品企画は悪い、売り方も悪い、という状況。立地についてはすでに仕入れた後なので今更どうしようもありません。商品企画もすでにプランが出来上がったしまっているので変更は困難。そんな状況なので価格を下げようとしても大幅に下げない限り効果はありません。
そうなると残された方法は、売り方を変えるしかありません。一番いいのは、自社で販売をすることですが、それはしたくないとのこと。であれば、仲介業者に積極的に売ってもらうしか方法はありません。
そこで考えなければならないのが、どうすれば仲介業者がこの物件を売りたいと思うかです。仲介業者もバカではありませんから、立地や商品企画、価格について自分なりの評価ができます。となると、彼らもこの物件については売れる物件だとは思わないでしょう。それを、積極的に売りたくなる方法を考えなければならないのです。
担当者ボーナスを与えるという短絡的な方法もありますが、仲介会社との良好な付き合いを続けるなら避けたい方法です。となると、できることは、販売支援をすることです。販売支援とは、仲介会社とタイアップして広告や販売費用を負担すること。広告制作や広告宣伝費を売主が負担して仲介業者に営業しやすくしてあげることです。新築のマンション販売などでは当たり前のように行われていますが、建売業界ではあまり行われていません。それをやることです。
ポイントは広告を自社で作成することと、広告するエリアやポスティングする物件を決めること。どこにどんな広告を打てば売れるのかをコンサルタントと相談しながら会社のノウハウとして蓄えることです。そうすれば、在庫処分できるだけでなくノウハウの蓄積もできます。
売りにくい物件を仕入れてしまうということはよくあることです。問題はその物件を自社で処分できるノウハウがあるかないか。これが後々大きな会社の資産に繋がります。
あなたの会社にはいざという時のためのノウハウがありますか?
いざという時、仲介業者はあてになりません。あてにできるのは自分だけ。積極的に売るノウハウを身につけましょう。これからは売主も販売力が必要な時代ですよ。
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