年末にある経営者が面白いことを言っていました。1年を振り返って反省は何かという質問に対してでしたが、その答えが、「商品に惚れ込んではいけない」というものだったからです。
私たちがよく耳にするのは「商品に惚れろ!」という言葉。担当者が商品に惚れなくて売れるはずがないという言葉はよく聞きますが、この経営者は全く反対のことを言っていました。
ちなみに、この経営者は不動産とは全く違うビジネスをしていますが、ビジネスの実績は桁違い。毎年倍々ゲームのように売上を伸ばす敏腕経営者。だから、彼の言葉には重みがあります。
では、なぜ彼が商品に惚れ込んではいけないと言ったのか?それは、商品に惚れ込んでしまうとビジネス全体を客観的に見れなくなるからです。実際、その敏腕経営者も昨年はある商品に惚れ込んで大きなミスを犯したと言います。こんなにいい商品ならきっと誰もがその価値を分かってくれるはず、と通常の販売プロセスを無視し、価格設定も間違えたと言います。結果は、・・・惨敗。いつもなら絶対に犯さないようなミスを連発したというのです。
実は、同じように考えている経営者は他にもたくさんいます。ある業績が絶好調の建売会社の社長ですが、なぜかことあるごとに私にコンサルティングを依頼してきます。ある時、その社長に「社長ならコンサルタントなんていらないんじゃないですか?」と尋ねたことがありました。その時、社長がおっしゃったのは「社員が手がける物件なら私でもいいと思うんです。でも、私が手がける物件はどうしても主観が入ってしまう。だから、第三者の意見が聞きたいんです」とおっしゃっていました。
つまり、この敏腕経営者と同じで、できる社長は商品を客観的に見ることを大切にしているのです。人はついつい自分の価値観が一番だと思います。自分の価値観をすべての人が支持してくれると思います。しかし、それは幻想。価値観は人それぞれです。だからこそ、適切なプロセスで、適切な価格で販売することが大事なのです。そうでなければ、せっかくのいい商品もその価値が伝わらないまま在庫になってしまいます。
あなたは商品を客観的に見ていますか?
商品に惚れることは大事。しかし、惚れすぎて我を忘れてしまうことは禁物です。
そこのところくれぐれもお忘れなく。
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