「勝ちに不思議の勝ちあり、
負けに不思議の負けなし」
野球の野村元監督がよく使う松浦静山の剣術書「剣談」の一節です。
「負けるときには、何の理由もなく負けるわけではなく、その試合中に何か負ける要素がある。勝ったときでも、何か負けに繋がる要素があった場合がある」という意味ですが、これは建売ビジネスの世界でも同じ。
苦戦すると思っていた物件があっさり売れた、すぐに売れると予想した物件がなかなか売れない、そんなことを経験した人は少なくありません。しかし、それらにはすべて理由があるということ。その理由を知らなければまた同じ失敗を犯す恐れがあるということです。
建売住宅の場合、販売方法は3つあります。ひとつは、売主が直接販売する方法。主に大手不動産会社が採用している販売方法です。2番目は、売主が直接販売と仲介業者を利用して販売する方法。自社で営業部を持つ中堅の建売業者が採用している販売方法です。そして3番目が、売主が仲介業者を利用して販売する方法。知り合いの仲介業者に委託したり、レインズやアットホームを利用して仲介業者に販売させる方法でパワービルダや多くの中小建売業者が採用している販売方法です。
それらの違いをひと言でいえば、直接販売か間接販売かの違い。そして興味深いのは、物件には直接販売に向いている物件と間接販売に向いている物件があるということです。だから、どちらの販売方式を採用するかで、戦わずして勝負が決まるということです。
具体的に言えば、売りやすい物件、売りやすい立場、売りやすい時は、間接販売(つまり、仲介業者を利用して売ること)を多用してより効果的に販売することが有効です。それに対して、売りにくい物件、売りにくい立場、売りにくい時は、直接販売によって啓蒙活動をしないと売れないということです。つまり、物件の置かれた状況によって販売方式を変えなければいけないということです。
パワービルダのように価格競争力があり供給量も多い会社の場合は、物件の魅力、供給量の多い会社の立場を利用して仲介業者に売らせるという間接販売が効果的ですが、中小建売業者の場合で、売りにくい物件をつくってしまった場合や、付加価値の高い物件をつくった場合は、それなりの説明、手間が必要になりますから、直接販売を採用した方が売れます。それを、どこの現場も同じような売り方で対応しようとするから、売れたり売れなかったりということが起きるのです。
売れないのは物件のせいでも、価格のせいでもありません。売れないのは販売方式のせい。あなたの販売方式は物件の特性にあった販売方式ですか?物件の特性にあっていなければ頑張っても売れないのは当たり前。そこのところじっくり考えてみてください。
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