不動産会社の経営者は裸の王様が多い?!

不動産会社経営

不動産会社の経営者は裸の王様が多い?!

不動産業界に限らず、中小企業はいい意味でも悪い意味でもワンマン経営の会社が多い。

いい意味では、決断力が早く、ある規模まではスムーズに会社が発展する。しかし、悪い意味では、いつまでも社長の独断と偏見でビジネスが進められる。その結果、社長の感性が時代と合わなくなると急激にビジネスが悪化する。

それを防ぐのはたった一つ。オーナー経営者が部下の声に耳を傾けるか、部下を育てるしかないのだが、これがなかなか難しい。正直、私もコンサルティングの現場ではこの問題によく遭遇します。社長は会社が伸びないのは社員のせいだ、と主張しますが、実は原因は社長にあることが多い。

気づいていないのは社長だけ。裸の王様になっているオーナー経営者は少なくありません。そんな時、オーナー経営者に伝える話があります。それは、本田技研工業の本田宗一郎社長の話。世界のホンダも中小企業と同様の問題を抱えていたからです。

本田技研工業は1962年、初の四輪車を開発し、乗用車メーカーとなりました。1967年には空冷エンジンを搭載した軽自動車「N360」が大ヒット。空冷に絶対の自信を持っていた宗一郎は、「世界に通用するエンジンは空冷でなければならない。それをF1で証明し、市販車で展開する」と表明。

翌68年、宗一郎が信念を込めて完成させた空冷エンジンを搭載したマシンでフランスGPに出場。しかし、予選では下から二番目、決戦ではコーナーを曲がりきれず土手に激突リタイヤするという惨憺たる結果になりました。

研究所で陣頭指揮に立つ宗一郎は、その空冷エンジンを搭載する市販車開発においてもエンジニアに何度も設計変更を指示。現場はその都度、仕事が滞って混乱してしまうということが起こったと言います。

それは、研究所長が「過去にすごい成功体験を持っている強力な創業者が技術のトップに立っている。行くところまで行かないととても止められない企業体質だった」と振り返るほど。

その結果、手段であるはずの技術が目的になり、新しい空冷技術を商品化した新車H1300は大衆にアピールせず、販売は不振をきわめました。

その後、若手の技術者が集まって、どう宗一郎に反省してもらうかを議論。その場に副社長の藤澤も招かれました。藤澤は研究所の幹部からもじっくり話を聞いて水冷に分があると再認識。

かつて、藤澤は宗一郎から「技術については口出ししないでくれ。その代わり、俺はカネのことは口出ししない」と言われずっとそれを守ってきた仲。しかし藤澤は初めて聖域に踏み込んだのです。

「あなたは本田技研の社長としての道をとるのか、それとも技術者として残るのか。どちらかを選ぶべきではないか」と。しばらく沈黙の後、宗一郎はこう言ったと言います。

「俺は社長をしているべきだろう」
そして、宗一郎は水冷エンジンの開発にゴーサインを出し、同時に技術の第一線から退く決断を下したのです。

70年には、創業以来の宗一郎と藤澤による二人三脚の指導体制から、4人の専務による集団指導体制に変更。そして73年、副社長の藤澤は引退を宣言。宗一郎は「俺は藤澤武夫あっての社長だ。藤澤が辞めるなら、俺も一緒。辞めるよ」と67歳の若さで取締役最高顧問に退いたのです。

時代は猛スピードで変化しています。老害と言われないように部下を育てましょう。そして、年齢を重ねた社長でなければできない仕事に専念しましょう。それが会社を長く発展させる秘訣。あなたも本田宗一郎になるべきです。

 

ピックアップ記事

  1. えっ本当?売れる物件を作りたいならお客様の声を聞いてはいけない。
  2. 中小建売業者が価格競争から抜け出すためのアイデアの見つけ方。
  3. 中小不動産会社はトップダウンを徹底しろ!
  4. 「売れるに決まってる物件」つくっていますか?
  5. 不動産会社が参考にしてはいけない「お客様の声」とは?

関連記事

  1. 共感の得られる家、共感の得られない家。

    不動産会社経営

    共感の得られる家、共感の得られない家。

    以前「バンクルワセ」というテレビ番組がありました。 「バンクルワセ…

  2. これからの新築分譲会社に必要な予算とは?

    不動産会社経営

    これからの新築分譲会社に必要な予算とは?

    新築一戸建てが売れない理由はいくつかありますが、私たちコンサルタントを…

  3. 中小建売業が陥る、間違いだらけの成功法則。

    不動産会社経営

    中小建売業者が陥る、間違いだらけの成功法則。

    仕事柄よく聞かれる質問があります。 それは、「最近、儲かっている会…

  4. 不動産会社が陥る、成功体験の罠。

    不動産会社経営

    不動産会社が陥る、成功体験の罠。

    コンサルティングをしていていちばん厄介だなと感じることはその人の成功体…

  5. 人材育成

    不動産会社経営

    「部下を育てるのは難しいなぁ…」と思ったら。

    誤解を恐れずに言えば、できる経営者ほど人材育成が下手です(笑)。 …

  6. 建売住宅が売れない理由

    不動産マーケティング

    建売住宅、なぜ今までの売り方が通用しないのか?

    建売業界の抱える問題のひとつに時流が読めていないという問題があります。…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 間違いだらけの新築住宅の見せ方
  2. 弱点のある不動産の売り方。
  3. 急成長企業に学ぶ、これから売れる新築分譲住宅。
  4. 新築一戸建て会社はゴミの日の法則に学べ。

おすすめの記事

  1. いつまでワンマン経営を続けますか?
  2. 建売会社が抱える「今、そこにある危機」
  3. あなたならどうする?用地仕入れの失敗を挽回する方法。
  4. こうすれば高額な家は売れる!高額な家を売るために絶対に外せな…
  5. 不動産会社経営、あなたは間違った社員管理をしていませんか?
  1. これからの不動産営業は売り込むほど売れなくなる。

    不動産マーケティング

    これからの不動産営業は売り込むほど売れなくなる。
  2. 成約率を上げたいなら即実践!購買意欲が高まる雑貨の使い方。

    不動産売却

    成約率を上げたいなら即実践!購買意欲が高まる雑貨の使い方。
  3. 建売業者も営業力の時代。

    不動産マーケティング

    建売業者も営業力の時代。
  4. 不動産会社が知っておくべき商品認知度と値下げの関係。

    不動産マーケティング

    不動産会社が知っておくべき商品認知度と値下げの関係。
  5. 不動産の現地販売は女ゴコロに配慮せよ!

    不動産マーケティング

    不動産の現地販売は女ゴコロに配慮せよ!
PAGE TOP